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海藻からのヨウ素の単離

1 目的

 酸化還元反応を使って、海藻からヨウ素を分離し、ヨウ素デンプン反応で確認する。

2 準備 

 海藻、蒸発皿、ガスバーナー、乳鉢、2mol/l硫酸、4%過酸化水素水、枝つきフラスコ、誘導管、1%デンプン水溶液

3 方法

 
(1) はさみで細かく切った海藻5gを蒸発皿に入れ、ガスバーナーで海藻中の有機物を除くために上下から灰になるまで焼く。
(2) ヨウ素化合物を抽出しやすくするため、焼いた灰を乳鉢ですりつぶす。
(3) すりつぶした灰を100mlビーカーに入れ、水25mlを加えて数分間煮る。
(4) (3)の溶液をろ過する。
(5) ろ液に2mol/l硫酸を2mlと、4%過酸化水素水2mlを加えて、溶液の色の変化を確認する。色合いは、はじめ淡い黄色であるが、褐色へと変化してくる。もしも色つきが悪い場合は、もう一度同じ操作(2mol/l硫酸を2mlと、4%過酸化水素水2mlを加 える)を繰り返す。ここでは2NaI+2H2SO4+H2O2→2NaHSO4+2H2O+I2の反応によりヨウ化物イオンが酸化され、ヨウ素となって遊離してくる。
(6)  枝付きフラスコに(5)の溶液を移し、誘導管の先をヨウ化カリウム水溶液を入れた氷水中の試験管に入れておく。その後でフラスコを加熱してヨウ素を昇華させて捕集する。このとき、枝つきフラスコ内が淡い紫色になり、ヨウ素の昇華が確認でき、試験管内のヨウ化カリウム水溶液がヨウ素を吸収して淡い褐色を帯びてくる。また、ヨウ化カリウム水溶液を使わずに空の試験管を用いた場合、氷があたって強く冷やされている試験管壁にヨウ素が固体状態で確認できることもある。
(7) 留出液に1%デンプン水溶液を加えると青紫色になる。

4 留意点

 実験中、昇華したヨウ素の蒸気を吸い込まないように注意する。

5 参考 

 いろいろな海草中のヨウ素の含有量

 コンブ 2,000〜762,000ppb テングサ 7,300〜34,000ppb アオサ 2,600〜7,000ppb  1ppbは10gの海草中に1gのヨウ素が含まれていることを表す。


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