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牛乳の成分物質の単離
1 目的
牛乳に含まれる三大栄養素のタンパク質(カゼイン)、糖質(ラクトース)、脂質(乳脂肪)を単離する。
2 準備
器具 | 遠心分離器、メスシリンダー、ビーカー、漏斗台、漏斗、ろ紙、pH計、乳鉢、乳棒、三脚、金網、るつぼばさみ、蒸発皿、湯浴、電子てんびん、分液漏斗 |
薬品 | 牛乳、0.2mol/l酢酸、0.1mol/l水酸化ナトリウム水溶液、95%エタノール、ジエチルエーテル、炭酸マグネシウム、濃アンモニア水、石油エーテル |
3 方法
(1) タンパク質(カゼイン)の単離
@ 牛乳20mlをメスシリンダーで測り取り、3000回転/分で30分間遠心分離器にかけた後、ろ過する。
(沈殿物は脂肪が多く含まれ、バターの原料となる。)
A ろ液に水20mlを加える。0.2mol/l酢酸を加えてpH4.6に調節すると、カゼインが沈殿してくる。
B ろ過した後、沈殿を精製するため乳鉢に入れ、0.1mol/l水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH7に調整し、カゼインを溶解させる。ろ液はラクトースを単離するために使用する。 C 0.2mol/l酢酸を加えて再びpH4.6に調節し、カゼインを沈殿させる。 D ろ過した後、カゼインをビーカーに入れ、水分と脂肪を除くため、95%エタノール5mlを加え、ペースト状にする。 E ろ過した後、95%エタノール5ml、ジエチルエーテル5mlで洗って乾燥させ、秤量する。 (注意) ジエチルエーテルを使うときは、火気に注意する。 |
(2) 糖質(ラクトース)の単離
@ (1)のBで得たろ液を煮沸して、水に可溶なタンパク質を変性させる。 | |
タンパク質変性後(左)と 変性前(右)の溶液 |
A ろ過した後、ろ液に炭酸マグネシウムを加え中和する。 | |
B 不溶な炭酸マグネシウムをろ過し、ろ液を蒸発皿に入れ、煮沸水浴上で水を完全に蒸発させる。 |
C 95%エタノール5mlを加え、ガラス棒でかき混ぜる。
D 静置して上澄み液(エタノール)を除いた後、水10ml加えてエタノールに不溶な物質を溶かす。
E ろ過した後、ろ液を蒸発皿に入れ、再び煮沸水浴上でシロップ状になるまで濃縮し、放冷後、秤量する。
(3) 脂質(乳脂肪)の単離
@ 牛乳20mlをメスシリンダーで測り取り、100mlビーカーに入れる。濃アンモニア水4mlを加えよく混合した後、95%エタノール20mlを加える。
A 分液漏斗に移し、ジエチルエーテル25mlを入れ、エーテルガスをこまめに抜きながら30秒間よく振る。 | |
B 分液漏斗に石油エーテル25mlを加え、30秒間よく振った後、静置する。 |
C 下層をビーカーに取った後、上層のエーテル層を分液漏斗の上の口から蒸留装置に移し、エーテルを除くと乳脂肪が得られる。
D 少量のエーテルに乳脂肪を溶かし、蒸発皿に移す。ドラフト内で煮沸水浴上で完全にエーテルを除き、放冷後、秤量する。
4 結果
(1) タンパク質(カゼイン) | ||
【白色結晶、0.52g】 |
(2) 糖質(ラクトース) |
|
【褐色結晶、0.84g】 |
(3) 脂質(乳脂肪) | |
【白色固体、0.70g】 |
5 備考
牛乳の組成(日本牛乳技術協会) | |
脂肪3.5%牛乳の標準組成(100gあたり) | |
エネルギー(kcal) | 62.0 |
水 分 (g) | 88.2 |
タンパク質(g) | 3.0 |
脂 質(g) | 3.5 |
糖 質(g) | 4.6 |
6 参考文献
(1) 岩田久敬:食品と食品化学,養賢堂(1977)
(2) 赤堀四郎,木村健二郎監修:化学実験事典,講談社(1977)
(3) 玉利和宏:日本理化学協会研究紀要,26,101(1995)
(4) 小原鉄二郎,津郷友吉:食品の化学実験,地球社(1998)
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