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金色にキラキラ光るスティックづくり

1 目的 

 黄色のヨウ化鉛(U)を再結晶させると,結晶は金のように輝く。この結晶をガラス管に封じ込め,キラキラ光るスティックをつくる。また,ヨウ化鉛(U)の結晶を用いて,金色の文字を描く。この実験を通して,物質の溶解について学ぶ。

2 準備

[器具] 電子天秤,200mL 三角フラスコ,試験管,ゴム栓,一端を閉じたガラス管(長さ15cm程度,内径7mm),駒込ピペット,ガスバーナー,ろうと,ろ紙,筆
[薬品] ヨウ化鉛(U),PVA洗濯のり

3 方法

(1) 0.40gのヨウ化鉛(U)を200mL三角フラスコに入れ,100mLの熱湯を加える。
(2) 溶けたら試験管に移し,ゴム栓をして水道水で冷やす。
(3) 金色に輝く結晶が析出し始めたら,冷却を止めてその様子を観察する(動画)。
(4) 駒込ピペットで試験管内の溶液を,一端を閉じたガラス管に上部2cm程度を残して入れる(写真1)。

写真1
(5) もう一端を,水に強い変成シリコン樹脂系接着剤で閉じる(写真2)。接着剤が乾くまで放置する(約1日)。

写真2
(6) キラキラ光るスティックが出来上がる。逆さにして振ると,とてもきれいである(写真3)。

写真3
(7) (4)の残りの結晶をろ過する(写真4)。

写真4
(8) この沈殿をPVAのりをつけた筆で溶き,紙に文字を書いてみる。金色の文字を書くことができる(写真5)。

写真5

4 結果・考察

(1) ヨウ化鉛(U)の結晶は,再結晶すると元の色とは異なった結晶を生じる。
(2) ヨウ化鉛(U)の水に対する溶解度は,温度によって異なるため容易に再結晶ができる。
水に対する溶解度は25℃で0.76g/L,100℃で4.36g/Lである。

5 留意点

(1) ヨウ化鉛(U)は劇物である。皮膚に触れたり,眼に入らないように十分注意したりする必要がある。
(2) ヨウ化鉛(U)は実験後回収し,適切に処理する。
(3) ガラスを閉じる接着剤は,水に強いものを選ぶ。ホットボンドがあれば,乾くまでの時間が短くてすむので,授業内にスティックを完成させることができる。
(4) ヨウ化鉛(U)は,硝酸鉛(U)や酢酸鉛(U)など溶解度が大きい鉛塩の水溶液に,ヨウ化カリウムなどの水溶液を加えると,容易に沈殿が生じる。このように,鉛(U)イオンとヨウ化物イオンの沈殿反応の観察・実験にも利用できる。

6 参考文献

楽しむ化学実験 東京理科大学 サイエンス夢工房編
岩波 理化学辞典


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