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しょうゆから食塩を取り出す

1 実験の目的

 しょうゆに含まれている成分のうち、燃える成分である有機物を燃やし、燃え残る無機物の食塩を取り出す。


2 実験の器具

蒸発皿、三角架、ガスバーナー、金網、ガラス棒、ロート、ロート台、ろ紙、しょうゆ、るつぼばさみし、ガスバーナー


3 実験の方法

(1) しょうゆ20mLを蒸発皿に入れ、三角架にのせ、強火で加熱する。 もう1本のバーナーで上からも加熱し完全に焼く。食塩以外の燃える成分(有機物)を完全に焼く。(図1) 蒸気や煙が出ているうちは、まだ不完全なので、これらがおさまるまでしっかり焼くこと。


(図1)


(2) 放冷してから水を30mLほど加えてガラス棒でよくかき混ぜる。(図2)
(3) ろ過して炭を取り除く。このとき焼き方が不完全だと、茶色のろ液であるが、よく焼いてあるとほぼ無色(淡い黄色)のろ液となる。(図3)

(図2) (図3)


(4) ろ液を蒸発皿に入れ、加熱して水分を蒸発させる。蒸発中に食塩の結晶がよく飛び跳ねるので注意する。(図4)(図5)

(図4) (図5)


(5) 放冷後、残った食塩を薬包紙に取り出し、質量を測定する。(図6)

(図6)

4 結果

 しょうゆ20mLから約3.0gの食塩が取り出せる。

5 学習できる内容

・物質の分離(ろ過の操作)
・有機物は炭素でできていること(有機化合物)
・物質が溶けた状態で混合しているとき、どちらも溶解した状態の時は、一方を沈殿させる必要がある。(無機化合物、有機化合物の分離で学ぶ内容)

6 探究活動での活用例

1.4人1グループを作る。次の質問1から3についてグループで討議し、どのような実験を行うとしょうゆから食塩が取り出せるか予想する。
  その際、実験のヒントとなる質問1、2を先に答えさせる。
  
  質問1:しょうゆには何が含まれていますか。また、その含まれている物質は無機化合物か有機化合物かも記入しなさい。
  質問2:今まで学習した化合物の分離法を挙げてください。
  質問3:以上の質問を踏まえ、しょうゆから食塩を取り出すにはどのような手法が考えられるか手順を記入しなさい。

2.予想後、生徒があげた実験の内容を紹介する。うまくいかないと予想される方法に関しては、必要に応じて演示実験も行い、なぜうまくいかないかを説明する。続いて、実際に食塩を取り出す実験を行う。

※ 質問3の生徒の解答例の一部
 ・大豆が有機化合物であり、加熱により炭化することを利用して分離する。
  (この手順通り進めることが妥当であることを説明する。)
 ・再結晶を利用する。(NaClの分離には再結晶は適さないことを説明する。)
 ・しょうゆに含まれる大豆がタンパク質であるので、酸を加えることによって沈殿させ、ろ過し蒸発する。
  (大豆はアミノ酸まで分解されているので、タンパク質の性質を利用することは適さないことを説明する。)
 ・しょうゆから水分を蒸発させたものを融解塩電解し、ナトリウムと塩素を取り出す。取り出したナトリウムと塩素を反応させて、NaClを合成する。
  (塩類以外の化合物が存在するため適切な方法ではないことと、実験室では実現が難しいことを説明する。)

※ 次のような実験プリント例を活用して、実験に取り組む。実験プリント例

7 参考

 しょうゆ100mL中に含まれているもの
 食塩 17g 、糖分 4g、酸 0.7g、アルコール 2.5g


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