2 準備
器具 |
試験管、50mlビーカー、ピンセット、料理用使い捨てアルミカップ、ガラス棒、駒込ピペット |
薬品 |
アジピン酸ジクロリド、ヘキサン、ヘキサメチレンジアミン、アセトン、1mol/l 水酸化ナトリウム水溶液、尿素、ホルマリン、
6mol/ l塩酸 |
3 方法
6,6−ナイロンの合成
(1) ビーカーに 0.5ml のアジピン酸ジクロリドをとり、 のへキサンを加えてとかす。
(2) 50ml ビーカーに 0.8g のヘキサメチレンジアミンをとり、1mol/ l 水酸化ナトリウム水溶液 20ml を加えて溶かす。ここでビーカーが大きすぎると、生じる糸が太くて見苦しい。
(3) (1) のヘキサン溶液を (2) のビーカーに内壁をつたわらせて静かに加えると、溶液は
2 層になる。
(4) 2層の境界面に膜ができるので、ピンセットで糸状に引き上げ、切れないように試験管に巻き取る。これを水洗いした後、アセトンで洗って乾燥する。
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尿素樹脂の合成
(1) 硬めのアルミカップに尿素 1gを加え、ホルマリン 2ml を加えてよく溶かす。
(2) 6mol/ l HClを 0.5ml 加えて、ガラス棒で素早く混合し、顔を離して見守っているとすぐに反応がおこり、白色不透明の尿素樹脂が生成する。このとき発生するホルムアルデヒドは有毒なので、実験はドラフト内で行うか、離れているようにすること。 |
4 備考
6,6- ナイロン
ナイロンは、ジアミンとカルボン酸の縮合によって得られるが、この方法では素早くつくることはできない。カルボン酸の代わりに酸クロリドを用いると、ジアミンと接触した瞬間ナイロンが合成される。
n H2N(CH2)6NH2 + nClCO(CH2)4 COCl → − [NH(CH2)6NHCO(CH2)4CO] n− + 2nHC l |
アジピン酸ジクロリドの代わりにセバシン酸ジクロリド(
Cl CO(CH2)8 COC l)を用いると、 6,10−ナイロンを合成できる。 |
尿素樹脂
尿素とホルムアルデヒドが縮合すると、熱硬化性の尿素樹脂(ユリア樹脂)が得られる。着色性がよく、臭いがないので食器類に多用されている。ここで生成する尿素樹脂も、色素を添加しておくことで、着色した樹脂をつくることができる。色素は水溶性色素を酸を入れる前に加えておく。油溶性色素を少量加えても淡い色に着色できる。酸の触媒を用いてつくった樹脂は、比較的もろく手で割ることができる。
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尿素樹脂の製品(蓋) |
5 留意点
6,6- ナイロン
酸クロリドは、空気中の湿気により塩化水素を発生しながら速やかに加水分解されてしまうので、長期保存は難しく、また密栓をして保存しなければならない。
6 参考文献
(1) 化学教育研究会編 「授業に役立つ化学実験のくふう」 大日本図書(1992)
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