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ビ ニ ロ ン の 合 成
−木工用ボンドからスポンジをつくる−
1 目的
ポリ酢酸ビニル(木工用ボンド)からビニロンを合成し、合成高分子についての理解を深める。 |
2 準備
器具 | ビーカー(1000ml、300ml、100ml)、ガラス棒、温度計、三脚、金網、ブフナー漏斗、吸引瓶、ろ紙、アスピレーター、アルミニウム箔、薬さじ |
薬品 |
メタノール、水酸化ナトリウム、ホルマリン、木工用ボンド(酢酸ビニル含量45%以上のものがよい、速乾性のものでもよい)、6mol/l 塩酸 |
3 方法
(1) 300mlビーカーに木工用ボンド20gをとり、そこへ水30mlを少しずつ、攪拌しながら加えていく。(このときボンドが玉にならないように注意する。) | |||
(2) さらにメタノール150mlを加え攪拌する。(透明な糊状の溶液になる。) | |||
(3) 水酸化ナトリウム3gを加え、約65℃の湯浴中で攪拌しながら10〜15分ほど反応させる。 | |||
(4) 室温まで冷却してからメタノール100mlを加えると、白色のポリビニルアルコールが析出してくる。 | |||
(5) 生じたポリビニルアルコールを吸引ろ過し、少量のメタノールで洗浄した後、室温で乾燥(メタノールを蒸発)させる。乾燥はドラフト内で行う。
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(6) ポリビニルアルコールを 100mlビーカーに入れ、20〜30mlの熱水(できるだけ少量の熱水で)を加え、完全に溶けるまで攪拌する。溶けにくいときは、湯浴であたためながら攪拌する。そこへ6mol/l 塩酸5mlとホルマリン15mlを加えて攪拌し、ホルムアルデヒドが気化して拡がるのを防ぐためアルミニウム箔でしっかりおおっておく。ホルマリンを用いるときには換気に十分注意する。 |
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(7) これを90℃の湯浴中に入れ加熱する。次第に内容物が固まってくる。 20分ほど加熱したら、生じたビニロンの固形物(ベージュ色)を取り出して水でよく洗う。 |
4 参考
木工用ボンドはポリ酢酸ビニルのエマルジョンである。これに水酸化ナトリウムを加えて加熱すると、加水分解してポリビニルアルコールを生じる。ポリビニルアルコールには多数の-OH基が存在し、水に溶ける。これに酸を触媒としてホルムアルデヒド(ホルマリン)を反応させると、 2個の-OH基と縮合して-CH2-の架橋をつくり(アセタール化)、水に不溶なビニロンとなる。市販のPVA洗濯糊を用いても (6)、(7)の操作でビニロンスポンジをつくることができる。この場合、反応時間は多少短くなり、真っ白なボリュームのあるスポンジができる。
ビニロン
5 備考
(1) メタノールに引火しないよう気をつける。
(2) ホルムアルデヒドを吸い込まないように気をつける。
6 参考文献
化学教育研究会編「授業に役立つ化学実験の工夫」 大日本図書( 1992)
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