back

銅アンモニアレーヨンの合成

1 目的
  脱脂綿から銅アンモニアレーヨンを合成し、再生繊維についての理解を深める。
2 準備
 器具    100ml三角フラスコ、ゴム栓、500mlビーカー2個、乳鉢、10ml注射器、注射針、ピンセット
 薬品    硫酸銅(U)五水和物、濃アンモニア水、2mol/l水酸化ナトリウム、2硫酸、脱脂綿
3 方法
  (1) シュバイツァー試薬([Cu(NH3)4](OH)2)の作成
乳鉢で細かくすりつぶした硫酸銅(U)五水和物1gを100ml三角フラスコにとり、そこへ濃アンモニア水10mlを加え、ゴム栓をして振り混ぜて溶かす。さらに2mol/l水酸化ナトリウム水溶液4mlを加え振り混ぜると、透明で深青色の溶液になる。
 (2)紡糸液の作成
  (1)のフラスコへ脱脂綿を少量加え、振り混ぜて溶かす。完全に溶けたところでまた少量加え、同様に溶かす。この操作を溶液全体がかなり粘性を帯びるまで繰り返し行う。(脱脂綿約0.2g使う。脱脂綿のかわりにろ紙でもよい。)
 (3)500mlビーカーに2mol/l 硫酸を500mlほど入れておく。
 (4)紡糸
  針をとった注射器にの溶液を吸い込む。このとき粘性が強すぎるときは濃アンモニア水を加えて薄める。針をつけピストンを押し、針の先には小さな溶液の玉を作り、これを(3)の硫酸中に入れる。はじめは玉をピンセットで少し引っ張り、後はピストンを押して静かに溶液中に押し出す。
 (5) しばらく放置し、繊維の青色が抜けたら水の入ったビーカーに移し、水洗いした後乾燥させる。

 備考
 セルロース繊維素は、濃い銅アンモニア溶液(シュバイツァー試薬)に溶け、酸によって再生繊維が沈殿する。これを銅アンモニアレーヨンといい、キュプラとかベンベルグとも呼ばれ使用されている。この反応は次のとおりである。

 2Cell-OH + [Cu(NH3)4](OH)2 → (Cell-O)2[Cu(NH3)4] + 2H2O

 セルロース                    セルロース銅(U)アンモニア錯塩

(Cell-O)2[Cu(NH3)4] + 6H  → 2Cell-OH + Cu2+ + 4NH
                              (再生)セルロース 

5  留意点
 (1) 濃アンモニア水を使用するため、換気に気をつける。
 (2) 繊維はあまり丈夫ではないので、細かく切れないように注意する。

6  参考文献
 (1) 化学教育研究会編 「授業に役立つ化学実験の工夫」 大日本図書(1992)
 (2) 武田一美著「おもしろい化学の実験」 東洋館出版社(1992)
 (3) 日本化学会編「実験で学ぶ化学の世界3」 丸善(1996)


back