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ペットボトルからテレフタル酸を回収する


1 目的

  ペットボトルをメタノールのアルカリ溶液で加水分解し、原材料のテレフタル酸を回収する。

2 準備

 [器具] 丸底フラスコ(200ml)、還流冷却器、水浴器、電子てんびん、メスシリンダー(100ml)、三角漏斗、ブフナー漏斗、吸引瓶、ホットプレートスターラー、ハサミ、コーヒー用ペーパーフィルター、ガラス棒、ビーカー(300ml)、pH試験紙
 [薬品等] ペットボトル(PET)、メタノール、水酸化ナトリウム、濃塩酸、0.1mol/l硝酸銀水溶液、蒸留水

3 方法

(1) ペットボトル(PET)の胴体部分をハサミで5mm角に切る。

(2) PET片3.0g、水酸化ナトリウム3.0g、メタノール30mlを丸底フラスコに入れる。

(3) 丸底フラスコに還流冷却器を付け、ホットプレートスターラー上の65℃湯浴中で加熱し反応させる。

写真1 PET分解実験装置

(4) 30分間反応させた後、丸底フラスコを水道水で冷却し、白濁した液が透明になるまで蒸留水を加える。

(5) 三角漏斗にコーヒー用ペーパーフィルターをのせ、未反応PETをろ過し、取り除く。

(6) ろ液は300mlビーカーにとり、濃塩酸をpH4〜5になるまで加え、よくかき混ぜる。

(7) 沈殿物を吸引ろ過し、ろ液が硝酸銀水溶液で白濁しなくなるまで沈殿物を蒸留水で2、3回洗浄する。

(8) 沈殿物を乾燥し、その質量を測定する。加熱乾燥の場合は100℃で1時間程度、自然乾燥の場合は1日以上放置する。

4 結果

(1) 分解生成物(テレフタル酸)の質量:1.3g、回収率:49%

(2) 分解生成物(テレフタル酸)

写真2 分解生成物(テレフタル酸)

5 留意点

(1) メタノール、水酸化ナトリウムの取り扱いには注意する。

(2) 反応温度は、メタノールの沸点である65℃を超えないようにする。

(3) 操作(4)で蒸留水を加え過ぎるとろ過に時間がかかる。ろ過にコーヒー用ペーパーフィルターを用いたのは、ろ過時間を短縮させるためである。

6 備考

(1) テレフタル酸の回収率を上げるためには、
 ア PET片をできるだけ細かくする。
 イ 市販の軟らかいペットボトルを利用する。

(2) ペットボトルはテレフタル酸とエチレングリコールが縮合重合してできた高分子化合物である。

テレフタル酸の構造式

エチレングリコールの構造式

ポリエチレンテレフタレートの構造式

7 参考文献

浅野仁「化学と教育」47巻(1999)


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