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印画紙(鶏卵紙)の作成
1 目的
塩化銀の感光性を利用した印画紙をつくり、光化学反応の理解を深める。
2 準備
[器具] ケント紙、ネガ、刷毛(はけ)、卵の白身 [薬品] 塩化ナトリウム、硝酸銀、チオ硫酸ナトリウム
3 方法
(1) | 塩化ナトリウム0.7gを水10mlに溶かす。これに卵の白身1個を加え混ぜる(写真1)。 |
(2) | 20〜30分放置した後、上部にある気泡が入らないように卵白液のみ別のビーカーに移す(写真2)。 |
(3) | 卵白液をケント紙など硬い紙に塗り乾かす(写真3)。この分量でA4ケント紙2枚程度できる。 |
(4) | 硝酸銀1gを水10mlに溶かす。暗室内でこの溶液を卵白液を塗り乾かしたケント紙に塗り、乾かす(写真 4,5)。 |
写真1 | 写真2 | 写真3 |
写真4 | 写真5 |
(5) | 写真のネガを重ね日光を当てる(写真6)。ネガの大きさの写真ができる(写真7)。真夏のよく晴れた日の正午では5分くらいの感光で写真ができるが、ネガの状態、天候で、感光時間は調節する必要がある。 |
(6) |
感光したら光を通さない袋などに入れ室内で濁りが出なくなるまで水洗する。その後20%チオ硫酸ナトリウム水溶液で10分程度定着する。 |
写真6 | 写真7 |
(1) | 硝酸銀と塩化ナトリウムは次のように反応し塩化銀ができる.。 AgNO3+NaCl→AgCl+NaNO3 |
(2) | できた塩化銀は光が当たると銀を遊離する。光が当たった部分だけ銀が遊離し黒くなり写真ができる。 |
(3) | ピンホールカメラで市販の印画紙から大きなネガをつくり(写真8)、それを用いてもよい。この場合できたネガを作った印画紙(鶏卵紙)に重ね日光を当てる。ネガの状態や天候で変わるが真夏の正午前後で3〜4時間くらい感光させる(写真9)。 |
写真8 | 写真9 |
5 留意点
・ | 硝酸銀は手に付くと黒くなるので硝酸銀を扱うときは手袋を使用する。 |
・ | ピンホールカメラでは市販の印画紙がフィルムのネガにあたるものであるので、新たな印画紙に焼き付けて画像を反転させる必要がある。市販の印画紙はフィルムと違い透明ではないので今回作成した印画紙(鶏卵紙)に焼き付けるのに時間がかかる。 |
6 指導上の留意点
この実験教材は、クラブ活動や課題研究で利用してもおもしろい。 |
7 参考文献
『手作り写真の手引き』 荒井宏子著 写真工業出版社 |
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