back

ミョウバンによる水の浄化

1 目的

 化学的に泥水を処理して透明な水をつくり、実際に行われている水の精製の過程について理解する。

2 準備

 [器具] 200mlビーカー2個、ガラス棒、駒込ピペット、薬さじ
 [薬品] 0.1mol/lアンモニア水、硫酸アルミニウムカリウム飽和水溶液(ミョウバン水溶液)、赤色リトマス紙、土

3 方法

(1) 200mlビーカー2個に水を200ml入れ、薬さじ2杯の土を加え攪拌(かくはん)し泥水にする。1つのビーカーは、処理をしたビーカーと比較するためのものとする。これを泥水@とし、処理する方を泥水Aとする。



泥水@(未処理)  泥水A(処理)



(2) 泥水Aのビーカーに、0.1mol/lアンモニア水を10ml加え、よく攪拌する。

(3) 赤色リトマス紙を用いて、泥水がアルカリ性になったことを確認する。もし、リトマス紙が青色にならなかったら、青色になるまで少しずつアンモニア水を加え、溶液をアルカリ性にする。

(4) 次に、この泥水に硫酸アルミニウムカリウム飽和水溶液(ミョウバン水溶液)を10ml加え、変化を観察する。

(5) 白色のゼラチン状沈殿が生じるまで硫酸アルミニウムカリウム飽和水溶液(ミョウバン水溶液)を加え続ける。

(6) 泥水@と、泥水Aのビーカーを横に並べて数分間観察する。

(7) 観察したことを記録し検討する。

4 結果

 土の粒子が沈降し、泥水の濁りが取れ、透明な上澄みを得ることができる。

(15分後) (30分後)

5 備考

(1) この実験では、アンモニア水中の水酸化物イオンと硫酸アルミニウムカリウム飽和水溶液(ミョウバン水溶液)中のアルミニウムイオンが反応し水酸化アルミニウムの白色沈殿が生成する。
   Al3+ + 3OH− → Al(OH)3
 この水酸化アルミニウムの重いゼラチン状沈殿が、土と懸濁した粒子を巻き込み、透明な水ができる。

(2) この実験では、沈降分離と呼ばれる精製法により、泥水から比較的透明な水をつくることができる。人間が使用するために川や湖の水を処理する場合、まず初めに大きなタンクの中で大きな粒子を沈降させる。次にゼラチン状沈殿の水酸化アルミニウムで不純物を沈降させて水を処理する。ここまでで土や細菌のほとんどが除去できる。更に塩素を加えて残る細菌を殺し、溶解している有機化合物を酸化して取り除くために水を空気中に飛散させる。そして、活性炭を用いて臭いのみならず微量の不純物も除く。よって、この実験で得られた水を飲料水にするには、更に処理する必要がある。

6 参考文献

 日本化学会訳編 「身近な化学実験U 中・高校生と教師のために」  丸善株式会社(1989)


back