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お茶による染色

1 目 的

 お茶により布を染色し、染色の基本操作を理解する。

2 準 備

 茶葉、大豆、500mビーカー、ガスバーナー、乳鉢、バット、白い木綿布、

 硫酸銅(U)、塩化クロム、塩化アルミニウム

3 方 法

(1)  前 処 理
@  一晩水に浸けた大豆を鍋で十分に煮て、柔らかくなったら乳鉢でしっかりすりつぶす。このときミキサーを使うと、手軽にできる。
A  木綿布でこし、絞り汁を水で3〜4倍ほどに薄める。
B  これをバット半分ほど取り、染色に用いる白い木綿布をつける。30分ほどつけておいて1日ほど干す。この時白い木綿布は5〜10枚ほどまとめてつけた方が効率がよい。
(参考)豆汁の代わりに牛乳を1/2倍に薄めた溶液を用いてもよいが表面が固くなり細工がしづらい。
(2) 染 色(つけ染め)
@  茶葉10gをはかりとり、水200mlとともに500mlビーカーに加え、約15分撹拌しながら煮沸する。
A  タンニンが十分抽出されたら放冷する。この抽出液は腐敗しやすいので冷蔵庫に保存する。
B  これを生地目の細かい木綿布でこし、染液とする。
C この染液を3等分して、それぞれに硫酸銅(U)、塩化クロム、塩化アルミニウムを、濃度が15〜25%程度になるように溶かし、媒染剤を作る。
D  これらの媒染剤を加熱し、沸騰したら前処理した白い木綿布を10分浸す。
E  その後水洗いをしてもう一度、媒染剤に浸す。これを2〜3回くり返す。
F  1日乾燥させ、染料を定着させるため水蒸気で30分ほど蒸す。スチームアイロンをかけてもよい。

4 結 果

 右上の写真は、左から硫酸銅(U)、塩化クロム、塩化アルミニウムを使用した場合であり、中段は前処理をした場合、下段は前処理をしなかった場合である。前処理をした方がよく染色された。媒染剤として硫酸銅(U)は茶色系統、塩化クロムは緑色系統、塩化アルミニウムは黄色系統の色を示した。

5 備 考

 お茶で布を染色する方法は、京都周辺で昔から行われていた伝統的染色方法である。特に、室町時代を中心に高級染め物として公家なども好んだといわれている。現在では京都の宇治市で数カ所行われている。

 染色方法にはつけ染めの他に引き染めがある。染色では木綿は前述した前処理をしないと染着性は悪い。絹は染着性はよく、この前処理は省略できる。絞りなどの工夫を凝らすとおもしろい。


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