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ビタミンCの還元力の確認
1 目的
清涼飲料水などの酸化防止剤として用いられるビタミンCの還元力を確かめる。 |
2 準備
[器具] | 試験管2本、駒込ピペット、ガスバーナー、試験管ばさみ、100mLビーカー、200mLビーカー、金槌 |
[薬品] | 0.1mol/L硝酸銀水溶液、2mol/Lアンモニア水、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液、市販のビタミンC含有食品、フェーリングA液,フェーリングB液 |
3 方法
T フェーリング液の還元 |
(1) | ビタミンC含有食品1錠(350mgのビタミンCを含む)を薬包紙に包み、金槌でたたいて粉末状にする。 |
(2) | 水100mLにビタミンCの粉末を溶かし、ビタミンCの水溶液をつくる(写真1)。 |
写真1 |
(3) | フェーリングA液 2mLとフェーリングB液 2mLを混合し、直ちにビタミンCの水溶液を数滴加え、ガスバーナーで加熱する。青色溶液から、赤色沈殿が生成する様子が観察できる(写真2、3)。 |
写真2 |
写真3 |
U 銀鏡反応 |
(1) | 試験管に硝酸銀水溶液を2mLとり、アンモニア水を褐色沈殿が溶けるまで加える。さらに、水酸化ナトリウム水溶液を0.5mL加える。 |
(2) | アンモニア性硝酸銀水溶液にビタミンCの水溶液を0.5mL加え、60℃〜70℃に加熱した水に浸す。銀の単体が析出する様子が観察できる(写真4)。 |
写真4 |
4 結果・考察
(1) | ビタミンCはアスコルビン酸L体であり、還元性を示すため、お茶などの酸化防止剤として含まれる。 |
ビタミンCは水溶液中では、下図に示すような平衡状態となっている。 | |
左のエンジオール構造は、容易に酸化され、ジケトン構造に変化しやすい。このため、ビタミンCは還元作用を示す。 |
(2) | フェーリング液中の銅(U)錯イオンがビタミンCの還元性により、赤色沈殿の酸化銅(T)に変化した。 |
(3) | アンモニア性硝酸銀水溶液がビタミンCの還元性により銀に変化し、銀鏡ができた。 |
水酸化ナトリウム水溶液を加えると、銀が析出する反応が促進される。 |
5 留意点
(1) | アンモニア性硝酸銀水溶液は、長期間放置しておくと、爆発性の物質を生じる。したがって、アンモニア性硝酸銀水溶液を前もって調整してはいけない。 |
(2) | 実験後の廃液は直ちに回収し、塩酸や食塩水を加えて適切に処理する。 |
(3) | フェーリング液の還元実験においては、加熱時の突沸に気をつけ、試験管の口を人に向けないようにする。 |
6 参考文献
○高等学校改訂化学T(2008),佐野博敏ほか21名著,第一学習社,p256-257 ○高等学校改訂化学U(2008),佐野博敏ほか21名著,第一学習社,p120,124 |
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