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人の呼気が起こす化学変化 |
1 目的
水酸化ナトリウム水溶液が二酸化炭素を吸収しやすいことを、指示薬の色の変化を観察し理解させる。 |
2 準備
[器具] | 200mL三角フラスコ、ゴム栓、200mLビーカー、ガラス棒、駒込ピペット |
[薬品] | 1.0mol/L水酸化ナトリウム水溶液、フェノールフタレイン溶液、pHユニバーサル指示薬、純水 |
3 方法
T | フェノールフタレインを指示薬に用いた場合 |
(1) | 三角フラスコに純水を約100mL入れ、フェノールフタレインを数滴加える。 |
(2) |
この三角フラスコ内の溶液に、1.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を溶液の色が薄く赤色になるまで、駒込ピペットを用いて数滴加える(写真1)。 |
(3) | 三角フラスコに直接息を吹き込み、すぐにゴム栓をし、撹拌する。この操作を繰り返す(動画1)。 | ||||||||||||
(4) | 呼気に含まれる二酸化炭素と水酸化ナトリウムが反応して中和されると、フェノールフタレインの赤色が消え、無色の水溶液になる(写真2)。 | ||||||||||||
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U | pHユニバーサル指示薬を用いた場合 | ||||||||||||||||
(1) | 三角フラスコに純水を約100mL入れ、pHユニバーサル指示薬を加える。 | ||||||||||||||||
(2) | 水酸化ナトリウム水溶液を、溶液の色が紫色になるまで数滴加える(写真3)。 | ||||||||||||||||
(3) | 三角フラスコに息を吹き込み、すぐにゴム栓をし、撹拌する。この操作を繰り返す(動画2)。 | ||||||||||||||||
(4) | 呼気の中に含まれる二酸化炭素と水酸化ナトリウムが反応し、中和されるにつれ、溶液の色が変化する(写真4)。 | ||||||||||||||||
(5) | 溶液の色が黄色になるまで息を吹き込む。 | ||||||||||||||||
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4 結果・考察
(1) | この反応は次のとおりである。 2NaOH + CO2 → Na2CO3 + H2O CO2 +H2O → H2CO3 水酸化ナトリウム水溶液は、呼気に含まれる二酸化炭素と中和反応する。さらに、pHユニバーサル指示薬の色が黄色になったことから、二酸化炭素が水に溶け込み、炭酸が生じたことが理解できる。
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(2) | pHユニバーサル指示薬の場合、一息ごとに溶液の色が徐々に変化するので、生徒は興味を示す。 |
5 留意点
(1) | 最初に加える水酸化ナトリウム水溶液は、フェノールフタレインの色がわずかに色づく程度でよい(水酸化ナトリウム水溶液の量が多いと息を吹きかけても色がなかなか消えない)。 |
(2) | pHユニバーサル指示薬の場合は、変色域が大きいので、紫色になるまで水酸化ナトリウム水溶液を加えておく(水酸化ナトリウム水溶液の量が多いと息を吹きかけても色が変化しない)。 |
6 参考文献
○『実験による化学への招待』(1987), 日本化学会 訳編 丸善株式会社 p58-59
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