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試験管で見る炎色反応
1 目的
白金線を用いた炎色反応の実験では、部屋を暗くしたりなどしないと色が見えにくかったり、すぐに炎色が消えてしまったりして十分な観察が行いにくい。そこで、試験管全体が長い時間炎色に明るく輝く方法を紹介する。
2 準備
器具 | 試験管(よく洗って乾燥したもの)、試験管ばさみ、ガスバーナー |
薬品 | 塩素酸カリウムKClO3、塩化ナトリウムNaCl、塩化リチウムLiCl、塩化ストロンチウムSrCl2、塩化バリウムBaCl2、塩化カルシウムCaCl2、硫黄S(米粒大の結晶:粉末でもよいが反応が短い) |
3 方法
(1) 塩素酸カリウム5gと炎色反応を見るための塩1gをはかりとり、薬包紙上でよく混合する。
(2) 試験管に(1)の混合物を入れ、ガスバーナー上で静かに加熱し、水分を十分に除いておく。
(3) 試験管を強熱し、混合物を融解する。
(4) 融解したらガスバーナーからはなし、硫黄の粒を投入する。
(5) 激しい反応が終了したらまた硫黄を投入する。この操作は数回繰り返すことができる。
4 結果
硫黄を投入すると試験管内で激しく反応し、(硫黄の量にもよるが)10〜20秒程度、試験管全体が目的元素の炎色反応の色に輝く。
Na:黄色、Li:赤色、Sr:紅色、Ba:黄緑色、Ca:橙色
SrCl2の場合
5 留意点
(1) 反応により二酸化硫黄SO2が発生するので、風通しのよい広い部屋で行うなど、換気に注意する。
(2) 必ず清浄な試験管を用いる。有機物や炭素が混入すると破裂する危険がある。
(3) 硫黄は米粒大にとどめる。粉末でもよいが、反応時間は短くなる。
(4) 塩を何も加えない状態で行えば、分光器でカリウムの炎色は確認できる。
(5) この方法では、銅は酸化物ができるため、炎色は見ることができない。
(6) 加熱する際に塩に含まれる水分を十分に除いておく。発生する水によって強熱中に試験管を破損する恐れがある。
(7) 危険を伴うので 、先生の指導のもとで行う。特に、使用する塩は他の物質でもよいが、Caの場合、酢酸カルシウムでは爆発するので、絶対に使用しない。
6 備考
それぞれの元素の化合物と塩素酸カリウムの混合物が融解したところに硫黄を投入すると、塩素酸カリウムの分解によって生じた酸素と反応し発熱する。この発熱反応により、共存するNa,Li,Sr,Ba,Caなどが炎色反応を起こし、試験管全体がその元素特有の色に輝く。硫黄が消費されてなくなると、発熱がおさまるためにいったん色が消えるが、硫黄を追加すると再び反応が進行して輝く。
7 参考文献
日本化学会編 「教師と学生のための化学実験」東京化学同人(1987)
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