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水溶液の化学平衡

1 目的

 化学平衡における条件(温度、濃度)の変化が及ぼす影響について、観察、実験を通して理解を深める。

2 準備

[器具] 試験管、50mLビーカー、200mLビーカー、ガスバーナー、ガラス棒、駒込ピペット、
ナイフ、ピンセット、試験管立て、ろ紙
[薬品] 塩化コバルト(U)、塩化ナトリウム、ナトリウム、純水、氷、沸騰石

3 方法

T コバルト錯体の平衡におよぼす温度効果
(1) 水50mLに塩化コバルト(U)を約20g加え、塩化コバルト(U)飽和水溶液をつくる(写真1)。
温度 0℃ 10℃ 20℃ 25℃ 30℃ 40℃
塩化コバルト(U)の溶解度(g/水100g) 30.3 32.3 34.6 36.0 37.4 41.0
(2) 色の変化を比較するために、飽和水溶液を入れた試験管を2本用意する(写真2)。
(写真1) (写真2)

(3) 1本の試験管に沸騰石を入れ、撹拌しながらガスバーナーでゆっくり加熱する(動画1)。
(4) 加熱した試験管と加熱していない試験管の色を比較する(写真3)。
(5) なお、加熱した試験管を氷水(200mLビーカー)につけると、もとの赤色にもどる。
(動画1)
(写真3)
U 飽和食塩水における共通イオン効果
(1) 水50mLに塩化ナトリウムを約15g加え、ガラス棒でよくかき混ぜ、飽和食塩水をつくる。
温度 0℃ 10℃ 20℃ 25℃ 30℃ 40℃
塩化ナトリウムの溶解度(g/水100g) 26.3 26.3 26.4 26.4 26.5 26.7
(2) ナトリウムをろ紙の上に置き、ナイフで切り、米粒大のナトリウムを2つ準備する。
(3) 試験管を2本用意し、一方には飽和食塩水を、もう片方には比較用に純水を入れる(写真4)。
(4) それぞれの試験管にピンセットを用いてナトリウムを入れ、様子を観察する(動画2)。

(写真4) (動画2)
試験管の左側は純水、右側は飽和食塩水

4 結果・考察

T コバルト錯体の平衡におよぼす温度効果
(1) 平衡反応は次のとおりである。

  青色             赤色
(2) 加熱すると平衡は左へ移動し、より多くの青色錯体が生成する。冷却すると平衡が右に移動し、赤色の錯イオンが生成する。
U 飽和食塩水における共通イオン効果
(1) 平衡反応は次のとおりである。
 
(2) 飽和食塩水にナトリウムを入れると、水と反応し、ナトリウムイオンが増えるため平衡が左に移動し、塩化ナトリウムの結晶が析出する。

5 留意点

(1) 塩化コバルト(U)の溶液は飽和水溶液を用いる。
(2) 試験管を加熱する際は、突沸しないように、沸騰石を数個入れ、試験管を振りながらゆっくり加熱する。
(3) 塩化ナトリウムの溶液は飽和水溶液を用いる。
(4) ナトリウムは手で触らず、ピンセットで扱う。
(5) ナトリウムは器壁に付着すると発火したり、水に大きな塊を入れると、爆発することがあるので取扱いに気をつける。

6 参考文献

○『実験による化学への招待』 (1987),日本化学会 訳編  丸善株式会社,
p87-88
○『ダイナミックワイド図説化学』(2008),竹内敬人ほか5名著,東京書籍,p95

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