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貝殻の成分を調べる


1 目 的

 貝殻の主成分がカルシウムであることを成分検出の実験を通して確認するとともに、その検出の原理を学ぶ。

2 準備

[器具] 貝殻、バーナー、ピンセット、蒸発皿、試験管、駒込ピペット、きれいなガラス管(またはストロー)、白金線
[薬品] 0.1mol/l塩酸、フェノールフタレイン溶液、純水

 

3  方法

(1) 貝殻を加熱する。全体が炎に包まれるまでは穏やかに加熱し、次いで貝殻の成分の分解を進めるために強熱する。(写真1)
(2) 15分ほど強熱した後、蒸発皿に入れ放冷する。(写真2)
(写真1) 写真2)


(3) 冷えてから純水1mlを加え、しばらく放置する。
しばらくすると強熱した部分が少しずつ崩れてくる(貝殻が崩れにくいときは、薬さじなどで軽く砕く)。
(4) 貝殻が崩れた後に蒸発皿の中身を軽く混ぜ合わせ、試験管に取る。(写真3)
(5) (4)の試験管に純水を適量加えてよく振ってから、しばらく静置する。(写真4)
(6) 上澄み液を2本の試験管に取り、一方にはフェノールフタレイン溶液を加える。(写真5)
(写真3) (写真4) (写真5)


(7) 上澄み液の入ったもう一方の試験管にガラス管を通じて息を吹き込み、溶液の白濁(白色沈殿の生成)を確認する。(写真6)
さらに白濁した溶液に0.1mol/l塩酸を加える。
(写真7)
(8) (7)で塩酸を加えた後の試験管内の溶液から、白金線を用いて炎色反応を確認する。(写真8)
(写真6)  (写真7) 写真8)


4 結果・考察

(1) (写真5)ではフェノールフタレイン溶液が赤変する。
これは貝殻の炭酸カルシウムが次のように反応して酸化カルシウムに変化し、それが水に溶けて塩基性を示す水酸化カルシウムになったからである。 
CaCO3 → CaO + CO2    CaO + H2O → Ca(OH)2
(2) (写真6)では息を吹き込んだ試験管内は白色に変化する。
これは、溶液中の水酸化カルシウムが二酸化炭素と反応して炭酸カルシウムの白色沈殿を生成するからである。
そこへ塩酸を加えると炭酸カルシウムが溶解し、溶液は無色に変化する。
Ca(OH)2 + CO2 → CaCO3 + H2O
CaCO3 + 2HCl → CaCl2 + CO2 + H2O
(3) (写真8)では、溶液中のカルシウムイオンにより赤橙色の炎色反応を示す。

5 留意点

(1) 貝殻は表を下にして加熱する。裏を下にすると、炎が手の方に来ることがあるので注意する。
(2) 貝殻を初めから強熱すると割れて飛び散ることがあるので、初めは穏やかに加熱する。
(3) 貝殻の加熱は無理をせずに少しずつ進める。手が熱くなってきたら、貝殻を炎から遠ざける。

6 参考文献

数研出版編集部 「新制化学TB実験ノート」