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使い捨てカイロの成分分析


1 目的

 使い捨てカイロの主成分(原材料)を定性的に分析する。

2 準備

 [器具] ブフナー漏斗、吸引びん、ろ紙、アスピレーター、ビーカー(300ml)、ガラス棒、万能pH試験紙、蒸発皿、白金線、バーナー、三脚、金網、試験管
 [薬品] 使い捨てカイロ、6mol/l塩酸、0.1mol/l硝酸銀水溶液または0.1mol/l硝酸鉛(U)水溶液、1mol/l水酸化ナトリウム水溶液または0.1mol/lヘキサシアノ鉄(U)酸カリウム水溶液

3  方法

(1) 使用済みの使い捨てカイロの中身を約30g量り取る。
(2) 300mlビーカーに(1)を入れ、水100mlを加えてよくかき混ぜる。
(3) ブフナー漏斗、吸引びんを用いて吸引ろ過を行い、ろ液(無色)と不溶物を分離する。

 
 写真1 吸引ろ過の様子

(4) 万能pH試験紙で、(3)のろ液のpH(pH7〜8程度)を確認する。さらに、ろ液の一部を試験管に取り、硝酸銀または硝酸鉛(U)の水溶液を加えてみる。


 写真2 硝酸銀水溶液を加えたときの様子

(5) (3)のろ液の一部を蒸発皿に取り、バーナーで加熱し水分を蒸発させる。蒸発後に白色結晶が残るので、結晶のかけらを白金線につけ、バーナーの炎にかざす。
(6) (3)でろ過した不純物を300mlビーカーに入れ、6mol/l塩酸150mlを少しずつ加え、よくかき混ぜる(発熱と若干の発泡が見られるので注意する)。
(7) 万能pH試験紙で、溶液が酸性になっていること(pH4程度)を確認してから、吸引ろ過を行い、ろ液(黄褐色)と不溶物を分離する。
(8) (7)のろ液の一部を試験管に取り、水酸化ナトリウム水溶液またはヘキサシアノ鉄(U)酸カリウム水溶液を加える。

写真3 水酸化ナトリウム溶液を
     加えたときの様子
動画1 ヘキサシアノ鉄(U)酸カリウム水溶液を加えたときの様子


(9) 不溶物を乾燥させ、拡大鏡(虫めがね)で観察する。

4 結果

(1) 方法(4)では、塩化銀または塩化鉛(U)の白色沈殿が生成する。
(2) 方法(5)では、黄色の炎色反応が見られ、ナトリウムイオンの存在が確認できる。
(3) 方法(8)では、ろ液に水酸化ナトリウム水溶液を加えると、水酸化鉄(V)の赤褐色沈殿が生成する。また、ヘキサシアノ鉄(U)酸カリウム水溶液を加えると、濃青色沈殿が生成する。
(4) 方法(9)では、カイロの原材料に含まれていた木粉や砂粒などが見られる。

5 考察

 使い捨てカイロには主成分(原材料)として、食塩、鉄粉、木粉が含まれている。この実験の方法(4)と(5)を通じて食塩(塩化ナトリウム)の存在を、方法(8)を通じて鉄の存在を、方法(9)を通じて木粉などの存在を確認できる。

6 留意点

(1) 方法(7)のろ液には、鉄(U)イオンもいくらか含まれているため、方法(8)で水酸化ナトリウム溶液を加えたときの沈殿は、やや黒みを帯びて見えることがある。また、ヘキサシアノ鉄(V)酸水溶液を加えても濃青色沈殿が生じる。
(2) メーカーによって、使い捨てカイロの主成分(原材料)は若干異なるので注意する。



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