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固体状態で起こる化学反応

1 目的

 反応物を、水溶液の状態にして行う反応や気体の状態にして行う反応は一般的であるが、固体の状態で起きる反応もある。ここでは、身近な物質である塩化アンモニウムと水酸化カルシウムとの反応と、ヨウ化カリウムと硝酸鉛(U)との反応について知る。


2 準備

器具 試験管、乳鉢、乳棒、薬包紙、ゴム栓、試験管立て
薬品 水酸化カルシウム、塩化アンモニウム、ヨウ化カリウム、硝酸鉛(U)


3 方法

(1) 塩化アンモニウムと水酸化カルシウムとの反応

@ 薬包紙の上に、塩化アンモニウム約0.5gを乗せる。
A その上に、同量の水酸化カルシウムを乗せる。
B 軽くかき混ぜて、においを嗅ぐ。
C 次に、試薬がこぼれないように注意して薬包紙を包み、2つの試薬をよく擦りあわせる。
D 包みを開き、発生した気体のにおいを嗅ぐと、アンモニア臭がする。

(2) ヨウ化カリウムと硝酸鉛(U)との反応

@ 別々の乳鉢を用いて、ヨウ化カリウムと硝酸鉛(U)を約1gずつ細かい粉末にして、薬包紙に移しておく。
A 試験管にヨウ化カリウムの粉末を入れ、その上に硝酸鉛(U)の粉末を乗せる。
B 試験管にゴム栓をして、上下に激しく振ると、黄色に変化する。

振る前

振った後


4 備考

(1) 塩化アンモニウムと水酸化カルシウムは次のように反応する。
   2NHCl+Ca(OH) → CaCl+2HO+2NH
 発生した気体は、アンモニアである。アンモニアは、刺激臭があり、有毒な気体であるので、部屋の換気には注意が必要である。この反応は、アンモニアの実験室的合成方法として、よく用いられる。アンモニアは、空気よりも軽く、水に溶けやすいので、上方置換によって回収される。

(2) ヨウ化カリウムと硝酸鉛(U)は次のように反応する。
   2KI+Pb(NO)→PbI+2KNO
 ヨウ化カリウムと硝酸鉛(U)はともに白色であるのに対して、生成したヨウ化鉛(U)は黄色であるので、反応が起こったことが明らかに分かる。硝酸鉛(U)がない場合は、酢酸鉛(U)でもよい。

5 参考文献

林良重編「ポピュラー・サイエンス ときめき化学実験」裳華房(1993)


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