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ペットボトルによる金属酸化物の還元 |
1 目的
生活を支える物質として,その特性を生かして使われている金属やプラスチックが,様々な化学の研究成果に基づいて製造や再利用されていることを学び,化学への興味・関心を高め,化学の学習の動機付けとする。 |
2 準備
[器具] | 試験管,ガスバーナー,スタンド,ゴム栓付きゴム管,ピンチコック,薬さじ,ろ紙 |
[薬品] | 酸化銅(U),プラスチック片(今回はペットボトルを5mm片程度に) |
3 方法
(1) | 質量比でペットボトル片:酸化銅=1:4の混合物を試験管に入れ(今回は,1g:4gで実験),ゴム栓付きゴム管を取り付け,スタンドにセットする。 なお,理論上は1:8.3であるが,ペットボトルが多めのほうが,確実に酸化銅(U)が還元される。 |
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(2) | 試験管を加熱,反応させる。(図1) | |
(3) | 反応が終われば加熱を止め,しばらくしてからピンチコックでゴム管をふさぎ,外部から酸素が入って試料が再び酸化されるのを防ぐ。 | |
(4) | 十分に冷却されてから,試料を取り出し,観察する。赤い部分を少しろ紙にとり,薬さじを使って押し広げ,金属光沢を確認する。 |
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図1 実験装置 |
4 結果・考察
(1) | 加熱後,試料の大部分は赤くなり,酸化銅(U)が還元されていることが確かめられた。(図2) |
(2) | 赤い粉末を押し広げると,金属光沢が確認され,銅が生成していることが確かめられた。(図3) |
図2 生成した物質 | 図3 光沢により銅を確認 |
5 留意点
(1) | 反応時,芳香を伴う白煙を生じる。排気装置のある場所で実験を行うか,または,試験管の口を上げて操作を行い,白煙を閉じ込めるとよい。 なお,反応に伴い水が生成するため,試験管の口を上げて操作を行う場合は,試験管の壁面に付着する水滴を蒸発させるなどの操作が必要であり,また,生徒にそのことを説明する必要がある。 |
(2) | ポリエチレン,ポリプロピレン,フォームポリスチレン等のプラスチックを用いても,同様に酸化銅(U)を還元できる。 |
(3) | 酸化銅(U)のかわりに酸化鉄(V)を用いた場合は,この方法では温度不足のため,四酸化三鉄Fe3O4までしか還元されない。 |
6 指導上の留意点
この実験教材は,高等学校学習指導要領解説(理科編)における | |
科学と人間生活 | (2)人間生活の中の化学 イ 物質の化学 (ア)材料とその再利用 |
化学基礎 | (1)化学と人間生活 ア 化学と人間生活とのかかわり (ア)人間生活の中の化学 |
(3)物質の変化 イ 化学変化 (イ)酸化と還元 | |
化学 | (3)無機物質の性質と利用 ア 無機物質 (イ)遷移元素 |
という項目において利用できる。 |
7 参考文献
富山県総合教育センター デジタル理科室 http://rika.el.tym.ed.jp/
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