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危険な実験(濃硫酸に水を注ぐ)

1 目的 

硫酸の溶解熱は非常に大きいため,濃硫酸を希釈するときは,必ずかき混ぜながら水に濃硫酸を少しずつ注がなければならない。逆の操作を行うと,加えた水が急激に沸騰し,周りの硫酸を飛散させるため,非常に危険である。本実験では,安全に細心の配慮を施したうえで,濃硫酸に水を加えることによる沸騰の様子を撮影し,生徒の安全啓発に役立てる。

2 準備

[準備物] アクリル板または塩化ビニル板,接着剤,カッターナイフ,
濃硫酸,水,ビーカー,スタンド,ゴム栓,ゴム管,ガラス管,漏斗

3 方法


(1) アクリル板または塩化ビニル板を切り,飛散防止容器をつくる。5面は接着剤でつなげる。上面の蓋に,ガラス管が通る小さな穴を開けておく。

(2)

飛散防止容器の中に200 mLビーカーを入れ,ビーカー内に水が落ちるようにガラス管を取り付ける。ガラス管にゴム管をつなぎ,ゴム管の先端に漏斗を取り付ける。
(3) 200 mLビーカーに濃硫酸を入れ,飛散防止容器の中に置き,蓋をする。
(4) 漏斗から水を落とすと,ビーカー内で激しい沸騰が起こり,硫酸が飛散する。


装置全景

4 結果

実験の様子 実験後,蓋に硫酸が飛び散った跡

5 実験の留意点

(1) この実験は非常に危険なため,生徒には撮影された映像等を見せることが望ましく,もし実際に演示する場合は,生徒に白衣と安全眼鏡を着用させ,生徒の観察場所から十分離れた場所で,安全には細心の注意を払って教員が操作する。
(2) ゴム管を曲げることにより,漏斗が飛散防止容器の真上に来なくなり,より安全に実験を行うことができる。

6 指導上の留意点

  この実験教材は,高等学校学習指導要領解説(理科編)における
科学と人間生活 (2)人間生活の中の科学 ア 光や熱の科学 (イ)熱の性質とその利用
化学 (2)物質の変化と平衡 ア 化学反応とエネルギー (ア)化学反応と熱・光
(3)無機物質の性質と利用 ア 無機物質 (ア)典型元素
という項目において利用できる。
 また,教材は,化学基礎,化学の「探究活動」や,理科課題研究における生徒実験において,安全啓発のために利用できる。

7 参考文献 
 
 化学教育兵庫サークル  http://www.hyogo-c.ed.jp/~h15ChEC/

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