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石けんからろうそくを作ろう
1 目的
石けんは、脂肪酸と水酸化ナトリウムが化合してできたものである。これに酸性の水溶液を加えると、分解して、水に溶けない脂肪酸が遊離してくる。この脂肪酸は、見た目にはろうのように見える。そこで、脂肪酸を型に入れてろうそくを作り、ろうそくと同じように燃やしてみよう。 |
2 準備
[器具] | おろし金、大きめのビーカー(1リットル)またはボウル、木綿のたこ糸、ガーゼ、アルミの型、ガラス棒 |
[薬品] | 石けん1個(無添加のもの、約100g)、5%塩酸約300ml |
3 方法
(1) | 石けんをおろし金で粉にし(写真1)、その粉にぬるま湯を入れて溶かす(写真2)。 |
(湯の温度約45℃、400〜500ml) |
写真1 | 写真2 |
(2) | この石けん水に、5%塩酸を少しずつ加えてかき混ぜていくと(写真3)、固形物が浮いてくる(写真4)。これが遊離した脂肪酸である。固形物が浮いてこなくなるまで塩酸を加えよくかき混ぜる。(塩酸約300ml) |
写真3 | 写真4 |
(3) | できた固形物を、二重にしたガーゼで濾(こ)す(写真5)。ガーゼに包んだまま水ですすいでから、よく絞って水分をできるだけ取り除く(写真6、7)。 |
写真5 | 写真6 |
写真7 |
(4) | 充分に水分を絞った固形物を小型の鍋に入れ、かき混ぜながらゆっくり加熱する(写真8)。 (水分が沸騰(ふっとう)し、内容物がはねやすいので弱火で時間をかけて水分を飛ばす。10分くらいで透明な油状液体になる(写真9)) |
写真8 | 写真9 |
(5) | (4)でできた液体をアルミの型に流し込む(写真10)。 |
(6) | 型の中央に木綿のたこ糸を芯にして針金で固定して冷やし、固まるのを待つ(写真11)。 |
写真10 | 写真11 |
(7) | ろうのように白く固まったら火をつけてみよう(写真12)。 |
写真12 |
4 留意点
(1) | 石けんの選び方 ・市販の石けんには、様々な種類があるが、ここでは無添加のもの(純石けん分99%)を用いた。 ・大きさもいろいろなものがあるが、石けんの量に応じてぬるま湯や塩酸の量を調節するとよい。 |
(2) | 方法(1)について 石けんに湯を加えてかき混ぜると、泡が発生し溶けているかどうか判断しにくいが、粉っぽい部分が無くなればよい。湯の温度も厳密に測定する必要はなく、40〜50℃が適当である。 |
(3) | 方法(2)について 加える塩酸の量は、かなり多いが、ある程度加えて固形物が浮いてきたらビーカー内の状態をよく観察し、加えすぎないように注意する。上から見ると、泡でよく見えないので横から見た方がよい。 |
(4) | 片付けについて できた脂肪酸は油の一種であるので、鍋や容器を中性洗剤等で洗っておく。 |
5 参考事項
(1) | 石けんの原料について |
・石けん素地は原料油脂として、牛脂(牛の脂肪に水を加えて煮出した固体脂)、パーム油(パーム椰子(やし)の果肉部分からとれる油)がよく用いられる。 | |
・主成分は、パルミチン酸(C15H31COOH 融点63℃)、ステアリン酸(C17H35COOH 融点69.9℃)、オレイン酸 (C17H33COOH 融点16.3℃)など。牛脂とパーム油は成分が似ている。 |
(2) | 蝋(ろう)について |
狭義に特定の一群の化学物質を指すときは高級脂肪酸と一価または二価の高級アルコールとのエステルを指す、融点の高い油脂状の物質(ワックス・エステル)で、広義には、実用上これらとよく似た性状を示す中性脂肪や高級脂肪酸、炭化水素なども含める。 |
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