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星座の指導をするとき、具体的に天体の位置や星座の大きさを表現しにくいため、教師の意に反して目的とする天体や星座を観ていないことが多い。そこで、角度(角距離)を簡単に測定できる次のような補助具を利用することで、方位や高度、星座の大きさをつかませることができ、星座を観望する場合大変便利である。
2 用意するもの
(1) 材料
30cmの定規(プラスチック製)、角材(1.5cm×3cm×56cm)、凧糸(120cm程度)、画鋲(またはセロハンテープ)
(2) 工具
穴開けパンチまたは錐、カッターナイフ、のこぎり、はさみ
(3) 必要に応じて使用
洗濯ばさみ、ペンライト、マッチ棒、セロハンテープ、方位磁針
5 基本的な使用方法
目を突かない程度(約1cm)に角材の端を目に近づけ、目標物の長さを定規の目盛りで読む。この場合、定規の目盛り1cmは、角度でほぼ1゜になっている。 |
方位磁石の指す方角や、遠くの山や建物を基準として、天体のおよその位置を知ることができる。また、方位(方角)や高度を示すことで、目標の天体を容易に見つけさせることができる。
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星座の両端(または目立つ2星)の間の角度を測ることで、星座の大きさを実感できる。 |
6 角材の長さを56cmにしている理由
目を突かない程度(約1p)に角材(56p)の端を目に近づけた場合、定規は目を中心とした半径57pの円周上に来る。この円周の長さは、約360p になるため、定規の1pが角度の約1゚に相当し、定規の目盛りで、角度(角距離)を直読できることになる。 |
7 使いやすくするアイデア
暗い場所で使用するため、定規の目盛りが読みにくい場合も多い。次のような方法を利用することができる。
星の位置に洗濯ばさみを印としてつけておき、後で明るい場所に移動して目盛りを読むようにするとよい。星座の大きさで見ている星座が目標のものかどうかを確認する場合、あらかじめ洗濯ばさみを星座の大きさに合わせてつけておくとよい。 |
角材にペンライトを取り付けておくと、目盛りを読むときに便利である。ただし、光が四方に広がるタイプは、目に直接光が入るので使いにくい。(その場合には紙筒などをかぶせて遮光する)また、明る過ぎるものも使いにくい。 |
定規の目盛り5cmおきに、マッチ棒をセロハンテープで止めておくと、暗いところでもおよその角度を目分量で測定できる。 |
8 応用例
日没の方位が季節によって変化することを、西の方向にある山や建物を基準として調べることができる。 |
月は、高く上っているときよりも、地平線近くにある場合大きく見えるが、これは錯覚である。天頂付近と地平線付近で、月の直径を実際に測ってみると、どちらも0.5°ほどで変化がないことがわかる。 |
黄道付近の明るい恒星を基準に、惑星との角度を数日おきに測ると、惑星と恒星(星座)との位置関係が変化していることがわかる。 |
9 参考
腕をいっぱいに伸ばしたときに、げんこつや指などに隠される幅で、およその角度を知ることができる。(ただし、個人差が大きいので注意) |
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