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 月に住んでいるのはだれ? 

1 はじめに

 昔から、「月にはウサギがいてもちをついている。」といわれています。これは、月には薄暗い模様があり、その形が、ウサギがもちをついているような形に見えるからです。この月の模様は、世界各地でいろいろな人物や動物にたとえられています。また、同じ土地でも、月の見える方角や時刻によって違うものにたとえられることもあります。ここでは、月の模様が何に見えるのか、なぜいろいろなものに見えるのかを説明します。

2 月に住んでいるのはだれ

 まず、日本での例を中心に、月の暗い部分の形が何にたとえられているかを紹介します。

(1) 夕方(東空)の月

 

 (2) 夜半前(南東の空)の月

(3) 真夜中(南の空)の月

(4) 明け方(西の空)の月

(5) その他(時刻や方位に無関係)の場合

3 月の模様の正体

月面図 「天文年鑑」より一部改変

 月の薄暗い模様の正体は、「海」と呼ばれる平原のような部分です。月は、いつも地球に同じ面を向けているため、地球から見た月の模様は変化しません。いろいろなものに見える月の模様は、実はすべて同じものなのです。月を見る向きや、その土地の自然・習慣・伝統などが関係して、いろいろなものに見られるようです。

4 地域による違いができる原因

 日本では「もちをつくうさぎ」によくたとえられますが、うさぎのいない太平洋の島々では、うさぎに連想されることはありません。その地域に棲んでいる動物に見られる場合が多いのです。(例:ライオン・ワニ)また、その土地に語り継がれた伝説や、神話の人物に見られる場合が多いようです。(例:水おけを運ぶ男女・二宮金次郎)

5 同じ地域でも時刻や方位によって違いができる原因

 満月の場合、日周運動によって夕方には東の地平線から昇り、真夜中に南中し、明け方には西の地平線に沈みます。このとき、月はいつも北極(月面図の「北」)を、ほぼ北極星の方向に向けたままで天球上を移動します。このため、夕方の月は、「もちをつくうさぎ」の耳にあたる「豊かの海」や「みきの海」を上にして昇り、明け方には、逆にそれらを下にして沈みます。

 その結果、時刻(あるいは見える方位)によって模様の上下が変化することになり、同じ月の模様も全く違ったものに見えてきます。このため、同じ地域でも、月の見える時刻や方位によって別な動物や人物などにたとえられるのです。

参考 小学館学習図鑑「天文と気象の図鑑」
   誠文堂新光社 「太陽と月の星ものがたり」
   日本放送出版協会 NHK趣味悠々「親子のための星空観察」


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