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  牛乳パックを利用した手すきはがき   

1 目 的

 いらなくなった牛乳パックをパルプに戻し、手作りの紙(はがき)を作る。

2 材 料

 牛乳パック・木の葉など(すき込みの材料として)

3 器 具

(1)すき枠用

   ・木枠(内側がはがきの大きさのものを1つ)

   ・金枠(木枠より大きめのものを1つ。まわりを1cm程度折り曲げ木枠にしっかり固定させる。)

   ・網戸用あるいはそれより細かい目の網(はがきの大きさに切ったもの。目が粗すぎるとうまくいかない。さらし 布やガーゼハンカチでも代用できるが、目が細かすぎると水きりがしにくい。)

(2)パルプ作り用

   ・バケツ(適当な大きさのものを1つ)

   ・カッター及びハサミ(牛乳パックを切るためのもの)

(3)紙すき用

   ・ビーカー(500mlのものを1つ)

   ・ミキサー(家庭用のもの。紙すきに使うと料理など他の目的では使いにくくなるので要注意)

   ・ガラス棒あるいはピンセット、ヘラ

(4)はがき乾燥用

   ・さらし布(紙すきのあとで使うもので2枚程度)

   ・木の板(はがきより2まわりほど大きなものを2つ)

   ・タオル、新聞紙(水分を吸い取らせるためのもの)

   ・アイロン

   ・重し(ブロックなど)

    

4 薬 品

  ・洗剤(石鹸を溶かしたものでもよい。)

  ・澱粉糊(普通の事務用、洗濯用の糊でもよい。)

  (備考) 和紙作りでは、トロロアオイの根から取った液を使う。その代用としてオクラのぬめりを使う方法もある。牛乳パックを利用する場合は、一般に糊を使うが、糊の濃度が濃すぎるとパルプが固まり過ぎてうまくいかないことがあるので注意が必要である。

 

5 方 法

(1)パルプづくり

   ・牛乳パックを水でよく洗っておく。

   ・カッターで1枚の板状に開く。

   ・底とのりしろ部分を取り除く。

   ・ハサミで折れ目に沿って1〜2cmの短冊状に切る。

   ・バケツの中に熱湯を入れ、洗剤を濃い目に溶かす。

   ・この中に短冊状のパックを入れ1〜2日置いておく。

   ・パックを取りだし水でよく洗う。

   ・パックの表面(ポリエチレンやビニルの部分)を丁寧に剥がす。

  ・残りのパックを細かく切り、1分程度ミキサーにかける。(短冊5〜6本分を500mlの水の中に入れ、パックの断面が見えなくなるまでミキサーにかける。ただし、不足することもあるので、多めに作っておいた方がよい。)

  ・この液をパルプ液とし、はがき作りの原液とする。 

   (備考) パルプ液を保存したい時は、このパルプ液を固く絞り、ラップに包んで冷蔵庫に保存しておく。はがき作りの前に5〜6秒ミキサーにかけ、はがき作りの原液とする。

 

(2)はがき作り

   ・すき枠をセットする。(下に金枠を固定させた木枠に、はがき大の網を入れておく。)

   ・その横に、さらし布をひいた板を準備しておく。

   ・パルプ液のはいったビーカーの中に糊を適量(5〜6g程度)入れ、よくかき混ぜる。

   ・すき枠の中にパルプ液を流し込む。(その下にシール容器をおき、水を受けておく。)

   (備考) 水で薄めたパルプ液を入れた容器の中にすき枠を入れ、パルプをすくって集めていくという、いわゆる長しすきに似た方法を使うこともできる。

  ・すき枠全体を持って少しゆすり、パルプ液を均一にゆきわたらせる。

(備考) パルプの厚さは5mmぐらいがよい。足らない場合は、パルプ液を追加すればよい。

  ・好みに応じて、木の葉や花びらなどのすき込みの材料をその上に置き、ガラス棒かピンセットでパルプの中に少し埋め、まわりのパルプが薄く被うようにする。

  ・すき枠を持ってまわしながら四隅で水を切る。

  ・すき枠のへりについているパルプを丁寧になぞる。(ヘラを使うとうまくいく。)

  ・木枠を取り外し、さらに布をひいた板の上に網をのせる。(パルプが下になるようにする。)

  ・その上からタオル(新聞紙)を置き、もう1つの板で押さえて水分を十分に吸い取る。

  ・上の板とタオルを取り、さらに網をゆっくりと外す。

  ・別のさらし布でパルプを包み、その上から板と重し(ブロックなど)をおき1日乾燥させる。

  ・さらし布の上からアイロンをかけ、しっかり乾燥させる。

  ・ゆっくりとさらし布を剥がして、出来上がり。

   (備考) しっかり重しをして乾燥させないと、歪んだ凹凸のはがきになってしまうので注意が必要。また、急ぐ場合はアイロンかけを先に行ってもよい。

6 結 果

 最初はなかなかうまくいかないが、試行錯誤を繰り返せば、美しい手作りはがきができるようになる。

 

7 指導資料

 いわゆる紙すきの実習であるならば、もっと適当な材料を用いて本格的な紙すきをするべきだろうが、ここでは資源の再利用という観点から牛乳パックを用いた紙すきを試みた。最近重要視されている自然愛護・環境保護の実践ということで大きな意義をもつものだと思う。

 ごみの増加が社会問題になっているが、ごみの中にはまだまだ再利用可能なものも少なくない。そうしたものを上手に再利用していけば、ごみの減少だけに留まらず、同時に原材料となる天然資源利用の節約も可能である。

 例えばこの牛乳パックは、ごみとして捨てれば燃やされてしまう運命だが、紙すきで 美しいはがきに再生できれば、有効に再利用できるのである。紙が何によってできているかを考えれば、森林破壊の現状を考えるきっかけにもなるし、物を大切に使っていこうという精神も養われるかも知れない。実際には手間隙がかかり過ぎ、とても採算が合う試みではないが、是非やる価値のある実験であると思う。

  ここで、紙すき以外の牛乳パックの再利用について考えてみよう。結構いろいろなものに再利用できて、おもしろい。これが牛乳パック以外のものにも応用していけば、ごみは減り、多少なりとも天然資源の節約につながるだろう。

 

 〈牛乳パックの再利用例〉

   ・手作りメガホン

   ・ゴキブリ退治用の入れ物(両面テープをパックの中に張り付け、ホウ酸だんごを入れておく。)

   ・花器

   ・ペーパートレイ

   ・各種おもちゃ

 

8 参考文献

  (1) 楢原通正:バック・トゥ・ザ・フューチャー 京都書院(1991)

  (2) 愛知県理科教育研究会生物研究委員会編:すぐ役立つ生物実験(1991)


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