消化薬を用いた酵素実験
1 実験の目的
消化薬には、消化酵素(アミラーゼ)が含まれている。この身近なものを利用して酵素の一般的性質を調べる。
2 実験の器具
ビーカー(3個)、ガラス棒、シャーレ(4枚)、ガスバーナー、軍手、ストロー(太めのもの)、駒込ピペット(2本)、試験管(2本)、試験管ばさみ、マジック、プラスチックプレート及び湯せん用具、温度計、薬さじ、寒天、可溶性デンプン、スキムミルク、消化薬、ヨウ素ヨウ化カリウム液
3 培地・薬品の調整
(1) 培地の調整
ア
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100mLの水をビーカーに入れ、弱火で加熱し寒天2.5gとスキムミルク1gをガラス棒で攪拌(かくはん)しながら溶かす。これをビーカー内で寒天が固まらないように手早く2枚のシャーレに注ぎ、固まるまで静置する(これをスキムミルク培地とする)。
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イ
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100mLの水をビーカーに入れ、弱火で加熱し寒天2.5gと可溶性デンプン1gをガラス棒で攪拌しながら溶かす。これをビーカー内で寒天が固まらないように手早く2枚のシャーレに注ぎ、固まるまで静置する(これをデンプン培地とする)。
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(2) 酵素液の調整
ア 2本の試験管に水を5mLずつ入れ、それぞれに消化薬を薬さじ(小)1杯ずつ加えて攪拌する。
イ 手順アで調整した酵素液のうち1本を弱火で加熱し、しばらく冷ましてから実験に用いる。加熱の際には、突沸に十分注意する。
4 方法
(1)
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各培地にストローで4か所穴を空ける。その際、培地面にストローを立てるように差し込み、少し傾けて引き上げれば容易に穴が空けられる。
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(2)
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シャーレのフタ及び底の側面にマジックで縦線を書き、それぞれの線が一直線になるようにしてからフタに培地の穴の位置及び酵素液の記号をマジックで記録しておく(図1)。
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図 1
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(3)
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フタに記録した記号と一致するように駒込ピペットで各培地の4か所の穴の2つずつに酵素液を3〜5滴程度注ぐ。その際、酵素液の種類ごとに駒込ピペットは取り替える。
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(4)
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各2枚の培地を室温(12〜24時間)及び約40℃の湯せん(30分間)にそれぞれ各一枚ずつ設置する。
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5 結果の判定方法
(1)
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スキムミルク培地は、酵素液を注いだ穴の周囲を観察する。スキムミルクが分解されていれば透明になり、分解されていなければ白濁したままである。
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(2)
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デンプン培地は、各設置時間経過後、注いだ酵素液を水道水で軽く洗い流してからヨウ素ヨウ化カリウム溶液を培地全体に広がる程度に注ぐ。デンプンが分解されていれば透明になり、分解されていなければ青色に染まる。
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6 結果(図2、3参照)
−:透明帯認められず ±:わずかに透明帯あり
+:透明帯1〜2mm程度 ++:透明帯5mm以上
酵 素 液
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消 化 薬
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加熱処理の有無
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非加熱
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加 熱
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湯せん
(40℃)
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デンプン
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++
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−
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スキムミルク
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−
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−
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室温
(18℃)
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デンプン
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+
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−
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スキムミルク
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−
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−
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図2 デンプンでの反応結果
左側:室温 右側:湯せん
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図3 スキムミルクでの反応結果
左側:室温 右側:湯せん
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7 考察
この実験により、酵素の基本的な性質である基質特異性や最適温度、熱による変性を確認できる。