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光合成色素の分離
A |
ぺ一パ−クロマトグラフィー |
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(1) | 葉をちぎって乳鉢に入れすりつぶす。色素抽出液を入れ、よくかくはんし、しばらく放置する。 | ||
(2) | ろ紙の一方から3cmの所に鉛筆で線を引く。(原点) | ||
(3) | 細いガラス管で、(1)の抽出液の上澄みをろ紙の原点の所に繰り返しつける。 ・ 一度に多量につけると、原点が広がってしまうから、少量ずつ繰り返す。 ・ 上澄みの液のみを原点につけること。沈殿した粉をつけると正しい値は出てこない。 |
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(4) | 展開液の入った試験管に、ろ紙を原点が下になるよう静かに入れコルク栓をする。 (原点が、展開液より上に出ていること) |
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(5) | 15〜20分展開させる。 | ||
コルク栓を取り、ピンセットでろ紙をつまみ出し、コルク栓をして、展開液の一番上昇したろ紙の部分に鉛筆で線(溶媒前線)を引く。その後、各色素斑を鉛筆で囲み中心に印をつける。 (すばやく行う−展開液が揮発性のため、線がすぐに消えてしまう) |
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(6) | 原点から溶媒前線までの長さと、分離した各色素斑の中心までの長さを求める。 次の式からRf値を求める。 Rf値=b/a b:原点から分離した各色素斑の中心までの距離 a:原点から溶媒(展開液)前線までの距離 |
B |
吸収スペクトルの観察 |
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(1) | 分光器で窓の外の自然光をのぞき、スペクトルの様子を観察する。(連続スペクトル) | ||
(2) | 緑葉の抽出液を試験管に入れ、分光器で、抽出液を透過した光のスペクトルを観察する。(吸収スペクトル) ・ 液の色が濃すぎると光を通さなくなるので薄めて観察する。 |
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(3) | 緑色のセロファンの吸収スペクトルと比較してみる。また、緑色、赤色や青色のセロファンの吸収スペクトルも観察してみると良い。 |
4 参考資料
(1) ペ−パ−クロマトグラフィ−の原理
原点につけた色素は毛細現象でろ紙にしみ込んでくる展開液(溶媒)に溶けながら上昇する。ろ紙には水が吸着しているので親水性の色素(溶媒に溶けにくい色素)は上昇が遅く、溶媒に溶けやすい色素は上昇が速い。
Rf値とはRate of flow(移動率)の略。Rf値は展開液・温度・ろ紙などの条件が同じであれば色素の種類によって一定である。よって、Rf値がほぼ等しければ同一の色素といえる。
Rf値(15〜22℃)
色素 |
クロロフィルb |
クロロフィルa |
キサントフィル類 |
β−カロテン |
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ビオラキサンチン |
ルティン |
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黄 緑 |
青 緑 |
黄 |
黄 |
橙 黄 |
|
ベンゼン |
0.22 |
0.34 |
0.75 |
0.91 |
0.99 |
トルエン |
0.22 |
0.39 |
0.69 |
0.85 |
0.95 |
キシレン |
0.23 |
0.38 |
0.70 |
0.84 |
0.97 |
緑葉のかわりにアカジソやユキノシタを用いると原点に赤い色素(アントシアン)がのこる(右図)。これは、アントシアンは抽出液には溶けるが展開液には溶けないからである。
(2) 吸収スペクトル
太陽光を直視分光器に通すと連続スペクトルが観察される。このことから太陽の可視光線はさまざまな波長(380nm〜780nm)の光で構成されていることがわかる。そして、私たちの眼にすべての波長の光が一度に入ると白い光と感じ、逆にすべての波長の光が吸収されると黒色に見える。色素抽出液を透過した光では連続したスペクトルの一部(赤、青紫)が黒くなった吸収スペクトルが観察される。この黒くなった波長帯は抽出液(光合成色素)に吸収されたことを示す。緑葉にはおもに赤と青紫の光を吸収するクロロフィルとおもに青緑の光を吸収するカロテノイド(カロテン、キサントフィル)という色素が含まれている。葉にあたった太陽光のうちこれらの色が吸収され光合成に利用される。残りの波長は私たちの眼にはいる。緑色植物が緑色に見えるのはこのように緑色光を吸収せず透過・反射するためである。緑色のセロファン紙を通してみた太陽光も直視分光器で観察するとこれと同じような吸収スペクトルを示す。
(3) 使用する薬品(メタノ−ル、アセトン、トルエン)
毒性・引火性があるので取り扱いに十分注意する。換気をよくして蒸気を吸わないよう気をつける。また、トルエンは再利用する。
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