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遺伝暗号の翻訳(タンパク質合成 その2)


1 遺伝暗号表
   遺伝子であるDNAは、その塩基配列として遺伝情報を暗号化して保持している。この塩基配列は m RNAに転写され、細胞質のリボソームにおいて翻訳を受けて、タンパク質が合成されている。このとき、 m RNAの3つの連続した塩基配列(=コドン)が1つのアミノ酸を指定するように対応しているが、この対応関係を表にしたものが次の遺伝暗号表である。
〔 m RNAの遺伝暗号表〕
1番目
の塩基
2番目の塩基 3番目
の塩基
U C A G
U Phe Ser Tyr Cys U
Phe Ser Tyr Cys C
Leu Ser A
Leu Ser Trp G
C Leu Pro His Arg U
Leu Pro His Arg C
Leu Pro Gln Arg A
Leu Pro Gln Arg G
A Ile Thr Asn Ser U
Ile Thr Asn Ser C
Ile Thr Lys Arg A
*Met Thr Lys Arg G
G Val Ala Asp Gly U
Val Ala Asp Gly C
Val Ala Glu Gly A
Val Ala Glu Gly G
《開始コドン》
   AUGはメチオニン(Met)を指定するコドンであるのと同時に、翻訳の開始点を意味している。このため、合成されたタンパク質はすべてMetが先頭にあるが、このMetは合成後に速やかに切り離される。

《終止コドン》
   UAA,UAG,UGAが指定するアミノ酸は存在しない。このため、このコドンの位置でタンパク質合成が終了することになる。


2 遺伝暗号の翻訳(タンパク質の合成)
   リボソームと結合した m RNAのコドンの位置には、そのコドンに対応する3つの塩基配列(=アンチコドン)を持つ t RNAだけが結合できる。この t RNAは特定のアミノ酸と結びついているため、1種類のコドンには常に同じアミノ酸が対応することになる。リボソーム上に2つの t RNAが並ぶと、アミノ酸同士がペプチド結合によってつながれ、ポリペプチド鎖が伸長していくことになる。

   次のアニメーションは、この遺伝暗号の翻訳によってタンパク質(ポリペプチド鎖)が合成される過程を模式的に表したものである。 


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