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脳の解剖(ニワトリ&ブタ)
1.ニワトリの脳
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   大型犬や猟犬のカルシウムを補うペットフードとして市販されている「鶏頭水煮」を用いる。1缶200円程度でニワトリの頭部が10個程度入っている。
   缶切りで缶を開けると煮こごり状になっている。油脂も付着しているので、水洗いして使用する。水煮の頭部はとても柔らかいので、水流が強いと簡単にくずれてしまう。弱めの水流で慎重に洗う。
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   トサカの部分から頭皮をピンセットではぎ取る。頭がい骨も簡単にはぎ取ることができる。しかし、ピンセットを差し込みすぎると脳を傷つけてしまうので注意する。すぐにハート形をした大脳を確認することができる。後頭部側の小脳の部分が頭がい骨・髄膜と隣接しているため、はがす際に小脳がくずれてしまう場合があるので、その付近では慎重に作業を行う。脳の裏側では、視交さも確認することができる。視神経の先端が眼球の網膜につながり、眼球と視神経の結合部分に黒い色素が付着しているのが分かる。
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   大脳の下からすくい上げるようにして、頭部から脳を取り出す。ピンセットを用いて取り出すより、手で取り出した方が成功する確率は高い。組織全体がもろくなっているので、弱めの水流で水洗いして観察する。脳の大きさは2pほどである。鳥類の脳では、バランス感覚をつかさどる小脳の割合が大きい。本来、小脳は白い組織が樹形に見えるのだが、加熱されているので観察できない。また、視神経束が太いなどの特徴がある。脳を裏返すと視交さの様子も観察できる。
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   カミソリを用いて脳の切片を作成する。切片を作る時には、試料を軽く手で押さえ、カミソリで圧すようにして切断する。小脳、視神経束などは取れやすいので、バラバラにならないように注意する。
   ほ乳類では、細胞体が表層に集まっているので、灰白質と白質の区別が見られるが、鳥類では、細胞体の集合した部分が、大脳各所に散在しているため灰白質と白質の区別が見られない。


鶏頭の缶詰めを開けた状態 鶏頭の外観1 鶏頭の外観2
脳の様子(横) 脳の様子(上) 脳の様子(後)
脳の右側面 脳の後面 脳の左側面
脳の前面 脳の上面 脳の裏側(視交さの様子)
脳の正中面 脳の横断面(前部) 脳の横断面(後部)
2.ブタの脳
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   ブタの頭部を、食肉を卸している精肉店に注文する。1個1000円〜1500円で購入できる。冷蔵庫で2〜3日保管できる。冷蔵庫で保管可能な個数以上(一般的な冷蔵庫であれば3個が限界)を購入する場合は、実験当日に受け取ることが望ましい。依頼する時には、左のビデオ、又は、以下の写真「ブタの頭部の外観1」のように頭がい骨に切れ込みを入れておいてもらうようにお願いすると、作業時間の短縮につながる。実験後の頭部の残がいも精肉店で引き取ってもらえる。
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   この実験で、最も時間がかかるのが頭がい骨の切断である。早いグループで20分、遅いグループは30分近くかかる。はじめにノコギリで切断していく。しかし、脳まで切断してしまうおそれがあるので、切込みから中をのぞき、脳の位置、切断具合を確認しながら作業を進める。後半はノミを用いて頭がい骨を切断する。最後に、数人の手で頭がい骨をゆっくり開く。
   ノミやノコギリを扱う際には、必ず軍手を着用する。
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   頭がい骨を開くと、左右どちらかの頭がい骨に脳が接着している。表面は白っぽい髄膜(硬膜とくも膜よりなる)で覆われているのが分かる。ハサミを用いて慎重に髄膜を切り開く。髄膜は、予想以上に固いので、力を入れすぎて脳を傷つけないように注意する。多くの生徒はこのとき、膜の固さと脳の柔らかさのギャップに驚く。脳を取り出すときに、髄膜が頭がい骨に接着している場合が多いので、力任せに引き出そうとすると脳の形がくずれてしまう。ピンセット等の器具も簡単に脳を傷つけてしまうので、脳の取り出しは手作業で慎重に行う。
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   脳の大きさは長径10p・短径6p・高さ5p程の大きさである。頭がい骨に比べると、あまりの脳の小ささに生徒は驚く。外観から溝の大きな大脳と、樹形状のしわの入った小脳の違いがよく分かる。このとき、脳の表面に粘着質が付着しており、軍手が脳に接着して形状を崩してしまう場合があるので、脳の受け渡し等には注意する。ビニール手袋を用いると形状の変化を最小限に抑えることができる。
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   大脳の横断面を観察する。カミソリを用いて、大脳を切断する。このとき、一度のカミソリの挿入で切断することを心掛ける。何度もカミソリを挿入すると切断面がくずれ、灰白質と白質が混じってしまいきれいな断面にならない。そのときは、切断場所を変えてもう一度試みればよい。きれいな断面が得られると、表面に細胞体の集中した灰白質と内側に神経繊維の集中した白質がはっきり確認できる。このようなきれいな横断面を得るためには、思い切りのよさが大切である。
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   ノコギリだけで頭がい骨を切断するとビデオのような大脳の正中面を得ることができる。このとき、頭がい骨内における大脳・小脳の位置や、延髄が脊髄につながっている様子がよく分かる。複数の頭部を解剖する場合は、あえてノコギリだけで頭がい骨を切断し、このような正中面を示すのもよい。また、脳をそのままの状態で取り出そうとしてもノコギリを入れすぎてしまい、傷つけてしまう場合がある。このときはノミを用いずに、そのままノコギリで切断してしまえばこのようなきれいな正中面が得られるので、どちらを選ぶか生徒に決めさせてもよい。
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   脳を取り出した頭がい骨の内側を見ると割りばしほどの太さの白い視神経束が観察できる。頭がい骨の穴を通り抜けて出ているので、すぐにそれと分かる。時間があれば、眼球を取り出して、角膜・水晶体・網膜などの観察を行うとよい。しかし、眼球を取り出すのは、周りの筋肉が強固なため、手間がかかる。取り出しだけで10分は必要であろう。
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   この実験を行うと、「気持ち悪い」「臭い」などの理由でモチベーションのあがらない生徒も出てくる。中には、大きなショックを受ける生徒が出てくる可能性もあるので、希望者で実施するのが望ましい。それを5〜6人のグループに分け、実験器具(学校で用意できないのこぎりやのみなど)を用意させる。そのためにも、実験の前に1回は事前研修を設ける必要がある。希望者で実施すると、やる気のある生徒ばかりなので準備から片付けまでとてもスムーズに行うことができた。今回の実験は夏休みの補習2時間で、脳から目の解剖までを行った。


ブタの頭部の外観1 ブタの頭部の外観2 ブタの頭部の外観3
のこぎりで頭部を切断 のみで頭がい骨を割る 慎重に手で開く
開いた頭部の様子 髄膜(硬膜・くも膜)の除去1 髄膜(硬膜・くも膜)の除去2
左脳の様子1 左脳の様子2 脳の様子(上面)
脳の横断面 脳の正中面 視神経束の様子


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