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刷込みの実験

1 目的

   オーストリアのローレンツは、ハイイロガンのひなが、ふ化後初めて自分の後をついて歩くことを発見した。21日でふ化をするニワトリのひなを用いて、刷込みを行うことにより、ローレンツの発見を確認する。

2 方法

   有精卵(種鷄場から購入:白色レグホーン約10円/個)、恒温器(ふ卵器)、卵パック(恒温器内での卵の配置に利用)、ふ化直前の卵を入れる箱

3 方法

      (1) 恒温器(ふ卵器)をセットする。

   恒温器(ふ卵器)を37℃にセットする。ビーカー(300ml)に水を入れ恒温器(ふ卵器)内に設置する。実験を始める1日前にはセットして、恒温器(ふ卵器)内の温度・湿度を安定させておく。
 

      (2) 恒温器(ふ卵器)に有精卵を置く。

   卵パックを恒温器(ふ卵器)内に置き、有精卵の鈍端(卵のとがっていない側・気室のある側)が上側にくるようにし、やや斜めに傾けた状態で卵パックの上にセットする。

      (3) 転卵をする。

   1日3回転卵をし、同じ位置が卵の上側にこないよう傾き具合を変化させる。その際、恒温器(ふ卵器)内の温度が下がりすぎないように転卵の作業を速やかに行う。ビーカー内の水が不足していれば補充しておく。

      (4) ふ化直前の卵を箱に入れる。

   21日目になると下の写真のようにひなが中からくちばしで卵をつつくので、卵の表面にひびが入る。その卵を、一つずつ箱に入れ、ふ化直後に何も視界に入らない状況を作り出す。恒温器(ふ卵器)内にその箱を戻し、箱の中でふ化させる。

ふ化直前の卵 箱に入れた卵
箱に移し替える様子
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      (5)ふ化直後のひなに刷込みを行う。

   ふ卵器からふ化したひなの箱を取り出し、ひなの前を動いてヒトへの刷込みを行う。また、別のひなの前で人形を動かして、人形への刷込みを行う。
ふ化直後のひな ふ化直後の卵殻
人形への刷込みの様子1   人形への刷込みの様子2  

4 結果

人形への刷込み
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ヒトへの刷込み
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6 まとめ

   刷込みは、ふ化後まもなくの時期に、動物が身に付ける一種の学習行動である。また、刷込みが起こるのは、ふ化後の一定の時間に限られていて、ニワトリのひなでは、ふ化後15時間のころに最もよく起こることが知られている。
   実験では、4羽中2羽のひなに刷込みが成功した。人形よりも、ヒトが声掛けをしたひなの方がより強く刷込まれたので、視覚的な情報だけでなく、聴覚的な情報も、より確実な刷込みを行うためには必要であると考えられる。


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