盲斑と大脳の働き
1 目的
眼球内に入った光は、網膜の視細胞によって受け取られ、 視神経を介して大脳の視覚野に伝えられることで視覚が生じる。
網膜上には、視神経が束になって眼球外へ出て行く部分があり、この部分を盲斑という。
盲斑には視細胞が存在しないので、盲斑に結んだ像は大脳に伝わらず視覚が生じない。
しかし、この見えない部分を大脳は周りの景色から作り出している。 次の簡単な実験によって、盲斑の存在と大脳の働きを確かめることができる。
2 実験手順と結果
【実験1】 盲斑の確認
(1) 目と実験用紙(図1)との距離を約10cmにする。
(2) 右目を閉じ、左目で、図1のAの目のマークに視軸を合わせる。
(3) 目を実験用紙から少しずつ離していく。
(4) あるところで黒丸が見えなくなる。
【実験2】 大脳の働き
(5) 実験1の後、そのまま目と実験用紙の距離を変えずに、図1のBの目のマークに視軸を合わせる。
(6) 2本の太線がつながって1本に見える。
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A |
B
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(図1) 実験用紙
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(図2) 実験の様子
3 考察
【実験1】盲斑の確認
黒丸が見えなくなるのは、この黒丸が盲斑上に像を結んだためである。
【実験2】大脳の働き
盲斑によって欠けた部分の像を、大脳は周りの情景から補っている。
大脳の働きだけでなく、両目で見ることや眼球を動かすことで
、私たちは、盲斑によって欠けた部分があることを感じることなく生活している。