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ニワトリの後肢のアポトーシスの観察

1 目的

   8日胚(培養8日後)の後肢芽におけるアポトーシス(プログラム細胞死)のようすを観察し、後肢の形成過程を理解する。

2 準備

   ニワトリの有精卵、ペトリ皿(シャーレ)、0.8%生理食塩水、1%ナイルブルー溶液、ハサミ、ピンセット、柄つき針、薬さじ、ふ卵器、実体顕微鏡、20mL程度の試薬瓶(キャップのできるもの)、アルミはく

3 方法

(1)    有精卵を、ふ卵器で37℃、8日間培養する。ふ卵器内に水の入ったビーカーを置くなどして乾燥しないようにする。
(2)    アルミはくを30cm四方に切り、実験机の上に敷く。別のアルミはくを、よってドーナツ状にして、リングの中にふ卵8日目の卵を鈍端が上になるように置く。
(3)    ピンセットを用いて、殻をていねいに、つつきながら割り、鈍端に直径3cm程度の穴を開ける。
(4)    ピンセットで胚を、殻に開けた穴からゆっくりと引き出す。
(5)    取り出した胚を、0.8%の生理食塩水の入ったペトリ皿上で、軽く洗って胚に付着している卵黄や卵白など取る。
(6)    実体顕微鏡を用いて胚を観察し、胚膜(羊膜など)をピンセットでつまみ、ていねいに胚からはがす。
(7)    使用直前に、1%ナイルブルー溶液を生理食塩水で100倍に希釈し、試薬瓶に入れる。
(8)    試薬瓶に胚を入れ、ふたをして37℃のふ卵器の中に20分間置く。10分程度経過したところで瓶を振って、溶液を撹拌させる。

4 観察

(1)    胚を新しい生理食塩水の入ったペトリ皿に移し、実体顕微鏡で観察する。
(2)    後肢が観察しづらい場合は、ピンセットで後肢の根元をつまんでハサミで切り離し、後肢を観察してもよい
参考:    ナイルブルー溶液で細胞は青く染色される。死んだ細胞は、マクロファージにより食作用をうけ、マクロファージ内に青色の色素が蓄積することで、青い顆粒として観察される。

5 考察

(1)    アポトーシスが後肢のどの部分で観察されるか。また、その意義を考えてみよう。
(2)    アヒルの後肢のアポトーシスについて調べ、ニワトリの場合との違いについて比較してみよう。

6 実験上の留意点

(1)    方法の(4)で胚を取り出す際、今回の実験では後肢のアポトーシスを観察するため、後肢のあたりを傷つけないように注意する。
(2)    方法の(8)の終了時に染色具合を実体顕微鏡で確認するとよい。染色が不十分で、青い点が観察しにくい場合は、ナイルブルー溶液を新しいものと交換し、(8)を繰り返す。また、あまり染色時間が長くても後肢全体が青く染まってしまいアポトーシスが観察しずらい。


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