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ムラサキツユクサを使った減数分裂の観察


1 減数分裂の分裂期の細胞を観察するために

(1) タマネギの根端分裂組織を用いた体細胞分裂の観察(対照観察)

 分裂組織の細胞が繰り返し何回も細胞分裂を行う。

 それぞれの細胞がそれぞれの細胞周期に従って分裂期に入るので,根端分裂組織を観察すると,様々な時期の細胞を観察することができる。
(2)

ムラサキツユクサの若いつぼみの葯(やく)を用いた減数分裂の観察 

 1個の花粉母細胞が減数分裂を行うのは1回だけである。
 ムラサキツユクサの若いつぼみの葯で,花粉母細胞が減数分裂を開始するのは,天気が良い日の午前中であるが,開始する時刻はその日の条件により異なるものと思われる。

 1つのつぼみの中の花粉母細胞は,ほぼ同時に分裂を開始するので,タマネギの根端分裂組織を用いた体細胞分裂の観察とは異なり,1個のつぼみから取り出した葯からは様々な分裂時期の細胞を観察することができない。

(3) 減数分裂の分裂期の細胞を観察するために

 何度も観察を試みた結果,固定液を入れた瓶を何本か用意し,午前7時から30分毎にムラサキツユクサの若いつぼみを固定し,観察していくことで分裂期の細胞を得られることが分かった。(実施時期は、6月〜8月)      


2 準備

 (1) 材料 ムラサキツユクサ

 (2) 器具 顕微鏡 スライドガラス カバーガラス ピンセット ろ紙

 (3) 試薬 酢酸オルセイン液 70%エタノール溶液

3 方法

 (1) ムラサキツユクサの若いつぼみ(2〜3mm)を取り出し,70%エタノール溶液に入れて固定する。

 (2) 固定したつぼみをスライドガラスに載せ,ピンセットを使って葯を取り出す。

 (3) 取り出した葯を,ピンセットを使ってスライドガラスになすりつける。

 (4) 酢酸オルセイン液を1〜2滴滴下し,5分間放置して染色する。

 (5) カバーガラスをかけ,その上にろ紙を置き,親指で押しつぶしてプレパラートを作成する。

 (6) 顕微鏡で観察する。

4 プレパラート作成の動画

  

5 観察 


(1) ムラサキツユクサ (2) ムラサキツユクサのつぼみ (3) 一番下段のつぼみが2〜3mmのつぼみ

(4) 間期 (5) 第一分裂 前期 (6) 第一分裂 中期


(7) 第一分裂 後期 (8) 第一分裂 終期 (9) 第二分裂 前期


(10) 第二分裂 後期 (11) 第二分裂 終期 (12) 花粉

   

6 留意点

 「1」の「減数分裂の分裂期の細胞を観察するために」でも述べたように,ムラサキツユクサのつぼみを用いた減数分裂の観察を成功させるためには,分裂期にある細胞を固定できるかどうかがポイントである。しかし,どの花粉母細胞がいつ減数分裂を開始するかは分からないので,分裂期にある細胞を固定することが難しい。何度も観察を試みた結果,午前7時から30分毎にムラサキツユクサの若いつぼみを10個ずつ固定,観察し,分裂期の細胞が得られるまで続ければ,分裂期にある細胞を固定できることが分かった。 しかし,この実験を生徒実験として行うには,分裂期にある細胞をたくさん固定し,準備する必要があるが,それは難しい。よって,事前に減数分裂が観察できるプレパラートをいくつか作成しておく必要がある。

7 参考文献

 生物教科書「013」 生物T 東京書籍

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