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1 目的
(1) | 発泡スチロールを用いた葉の切片の簡易作成方法を習得する。 | |
(2) | 葉や茎の切片を観察し、表皮系・維管束系・基本組織系の構造と働きを理解する。 |
2 準備
[器具・薬品] | カミソリ(両刃カミソリが薄くて切片が作りやすい)、発泡スチロール、スライドガラス、カバーガラス、ピンセット、柄つき針、駒込ピペット、赤インク、ビーカー、光学顕微鏡、デジタルカメラ、三脚 | |
[材料] | 葉:広葉樹(ツバキなど)、針葉樹(マツなど) 茎:アスパラガス、校庭の雑草(アレチノギクなど) |
3 切片の作成方法
(1) | 葉の切片を作る(切片の作り方は下の映像を参考)。 | |
発泡スチロールに挟み、できるだけ薄く切る。 |
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4 デジタルカメラを用いた顕微鏡写真の撮り方
(1) | 顕微鏡の接眼レンズに接するように、デジタルカメラを三脚を利用してセットする。(コリメート法)(図1) 三脚が無い場合は、実験用のスタンドとクランプで代用ができる。 |
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(2) | プレパラートを置いた後、デジタルカメラの液晶画面を見ながら光軸を合わせる。 | |
(3) | 周辺が黒くなる(ケラレが生じる)場合(図2)は、デジタルカメラのレンズを望遠側にして調節する。 ケラレは気にせず撮影し、撮影後、画像処理ソフトで必要な部分を切り取ってもよい。 |
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(4) | ピントはデジタルカメラの液晶画面を見ながら、顕微鏡の調節ねじで合わせる。 デジタルカメラのレンズを望遠側にして像を拡大すると正確にピント合わせができる。 |
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(5) | 必ず、短時間のセルフタイマー(2秒くらいが内臓されている)を用いてシャッターを切る(手ぶれ防止)。 | |
(6) | 撮影後は、画像処理ソフトを用いて画像を加工(切り抜きやシャープなど)をするとよい。 |
図1 | 図2 |
5 観察のポイント
(1) | ツバキの葉やベニカナメモチ(別名アカメガシ、レッドロビン)の葉 | ||
ア | 葉肉における柵状組織や海綿状組織の配置、葉脈(維管束)における木部と師部の配置、気孔の分布などで葉の表側と裏側で違いがあることに注意して観察する(図3)。 なお、図3のAは木部、Bは形成層、Cは師部である。 | ||
イ | 孔辺細胞に葉緑体があることを確認する(図4)。 | ||
ウ | 葉肉の柵状組織や海綿状組織に赤色の色素アントシアン(アントシアニン)が存在する(図5)。 |
図3(ツバキ) | 図4(ツバキ) | 図5(ベニカナメモチ) |
(2) | クロマツやアカマツの葉 | ||
ア | 強固な表皮組織に囲まれ、内部に柵状組織や樹脂道、中心部に維管束が観察できる(図6)。 | ||
イ | 気孔を構成する孔辺細胞は表皮組織のやや内部に位置する。気孔に大気中の塵が入っているものもある(図7)。 | ||
ウ | アカマツでは、樹脂道がクロマツに比べ周辺に位置しているので容易に区別が可能である(図8)。 |
図6(クロマツ(矢印は気孔)) | 図7(クロマツ) | 図8(アカマツ) |
(3) | パイナップルの葉 | ||
ア | パイナップルはCAM植物と言い、乾燥に強い。したがって葉の表面に水分を貯蔵・吸収する組織がある(図9のA)。 | ||
イ | CAM植物は、夜間に、気孔を開いて二酸化炭素を固定し、昼間は気孔を閉じたまま、光合成ができる。 |
図9(パイナップル) |
(4) | アスパラガスの茎(単子葉類) | ||
ア | アスパラガスの茎は柔らかいので発泡スチロールに挟まずに切片を作ることができる。 | ||
イ | 茎全体の切片を作ろうとせず、顕微鏡で観察する程度の小さな切片ができればよい。 | ||
ウ | 赤インクを入れたビーカーにアスパラガスを30分程度浸すだけで、道管が赤く染まるので観察しやすい(図10、11)。 |
図10(アスパラガス) | 図11(A:木部 B:師部) |
(5) | アレチノギクの茎(双子葉類) | ||
ア | アレチノギク茎は柔らかいので、アスパラガス同様、発泡スチロールに挟まずに切片を作ることができる。 | ||
イ | 茎全体の切片を作ろうとせず、顕微鏡で観察する程度の小さな切片ができればよい。 | ||
ウ | 赤インクを入れたビーカーにアレチノギクを30分程度浸すだけで、道管が赤く染まるので観察しやすい(図12)。 |
図12(アレチノギク) |
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