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膜の性質



1 全透膜と半透膜

 全透膜とは、溶媒分子(水分子)も溶質分子も通過させる膜であり、半透膜とは、溶媒分子(水分子)は通過させるが、溶質分子は通過させない膜である。
 

A 全透膜 B 半透膜


 これらの膜を仕切りとして、その両側に濃度の異なる水溶液が存在する場合、全透膜と半透膜とでは異なる現象が起こる。下のアニメーションは、膜で隔てた左側のみに溶質を投入したときのアニメーションである。

C 拡散 D 浸透
 全透膜は水分子も溶質分子も通過させるため、濃度の不均衡を解消するため、溶質分子が溶質濃度が低い右側に移動する。この現象を拡散と呼ぶ。  半透膜は溶質分子を通過させないので、濃度の不均衡を解消するため、水分子が溶質濃度が高い左側に移動する。この現象を浸透と呼ぶ。この結果、左側の液量は増加し、右側の液量は減少する。


2 細胞膜(半透膜)の変化


 動物細胞を覆う細胞膜は溶質分子を通過させない半透膜である。そのため、細胞内外の溶質濃度が異なるときは、上のDで示したように溶質濃度の高い側に向かって水分子が移動する。水分子が移動することにより細胞の形も変化することになる。下のアニメーションは、赤血球を細胞内の溶質濃度と異なる水溶液に入れたときのアニメーションである。

E 赤血球内よりも細胞外の溶質濃度が高いとき  F 赤血球内よりも細胞外の溶質濃度が低いとき
 溶質濃度の高い側(細胞外)へ向かって水分子が移動する。そのため赤血球内の液量が減少し、細胞が収縮する。  溶質濃度の高い側(細胞内)へ向かって水分子が移動する。そのため赤血球内の液量が増加し、細胞が膨張する。



2 授業での活用事例

アニメーションを用いて、浸透現象の原理を一通り理解したあと、次のような活動が考えられる。

(1)身近な浸透現象について、グループで討議してまとめ、その内容を発表する。
   (例:風呂に入ったときに手がふやける、野菜の塩漬け、ナメクジに塩をかけたときの変化など)

(2)生徒に、日常生活に関連した浸透現象に関する次のような質問について考察させる。
   質問例1 栽培している植物に大量の肥料を与えると、よく成長するか。
   質問例2 鍋で野菜を煮るときに、調味料をたくさん入れたお湯で煮ると、どのようになるか。




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