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最近、デジタルカメラの普及で手軽に写真撮影ができるようになった。生物実験の試料についても同じことが言える。また、デジタルカメラ自体、短時間の動画を撮影できるものが多く(video/aviファイル)、工夫すれば顕微鏡内での動きのある映像も撮影できる。
植物細胞の原形質流動を観察する材料としてよく用いられるオオカナダモ、ムラサキツユクサのおしべの毛の細胞について撮影を試みた。
(写真1)デジタルカメラの例 | (写真2)このようなタイプ |
・ デジタルカメラ(写真1)…動画撮影機能をもつもの
取扱説明書などを読んでどの程度のことができるかを把握しておく。音声まで記録できるもの、画像だけのものなど機種によって様々である。
・ 光学顕微鏡
できればステージが上下するタイプ(写真2)、さらに光源付き(動画撮影の際、自然光だけでは視野が暗すぎるため)がよい。
・ 検鏡用具(スライドガラス、カバーガラス、ピンセット、かみそりなど)
(写真3)オオカナダモの葉 | (写真4)カバーガラスをかける |
(写真5)視野の広い接眼レンズ | (写真6)「アダプター」 左:加工前 右:加工後 |
流動速度(μm/s)には温度条件がかなり関わっているようである(曇りよりは晴れの日のほうがよい)。その他にも、試料作成直前まで水分が十分に与えられていた、日に当てておいたといったことでも多少差が出るようである。秋から冬にかけて流動速度が小さいときに、プレパラートにお湯を少量追加したら多少流動速度が大きくなったこともある。(写真3,写真4)
低倍率から最高倍率へと倍率を変えていくが、デジタルカメラの撮影に際しては視野の広い接眼レンズ(写真5)を用いるとよい。
デジタルカメラの機種にもよるが、手ブレを防ぐために、(写真6)のように薬品ビンのふた、ペットボトルのふたなどをデジタルカメラのレンズの外形に合わせて穴を開け、「アダプター」としてカメラを固定できるようにするとよい。ただし、デジタルカメラの中には、待機時間が長いと自動的にレンズが完全に格納されるタイプのものもあるので、注意が必要である。今回使用したカメラはこのタイプなので光学顕微鏡の接眼レンズにデジタルカメラのレンズ(ズームを最大にした状態)を密着させて撮影している(図1)。
カメラの液晶画面を確認しながら(これができるのがデジタルカメラの良いところである)ズームを最大にして静止画、動画を撮影する。
アダプター無しの場合は、カメラを密着したままぶれないようにしっかり支えたまま撮影する。撮影時間が長いほど動画ファイルのサイズは大きくなる(今回使用したカメラは15秒で2.5MBくらい)のでWebやプレゼンテーションで使用する際には注意する必要がある。
静止画ならこの後、拡大・縮小・トリミングなどの加工を行う。動画の場合はファイルが大きく撮りだめがきかないので、たくさん撮る場合はこまめにコンピュータに取り込む必要がある。
(図1)アダプターなしでの撮影 |
試料の状態、温度などの条件が良ければもっと速い速度で流動する細胞を撮影できるはずである。
(画像をクリックすると動画を見ることができます)
オオカナダモ 1 | オオカナダモ 2 | ムラサキツユクサの おしべの毛 1 | ムラサキツユクサの おしべの毛 2 |
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