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4 分析結果の概要

(1) 例年,関数分野で,式,表,グラフ等の相互関連や関数を用いて事象を考察する問題を出題している。しかし,結果は満足のいくものではない。テストTでは表から関数を求めさせたり,グラフから関数を求めさせる問題を出題したが,正答率が低く,式,表,グラフ等の関係が結びついていないことが分かる。テストA,Bでは,事象を数学的に考察し,関数を立式させる問題を出題したが,やはり正答率は低く,習った一次関数を事象の考察に生かせないことが分かる。
 高等学校の新学習指導要領数学解説の「改善の基本方針」の中に「根拠を明らかにし筋道を立てて体系的に考えることや,言葉や数,式,図,表,グラフなどの相互の関連を理解し,それらを適切に用いて問題を解決したり,自分の考えを分かりやすく説明したり,互いに自分の考えを表現し伝え合ったりすることなどの指導を充実する」という文がある。この文からも分かるとおり,式,表,グラフ等は,問題を解いたり,事象を考察する場合だけでなく,さらに,根拠を明らかにして相手に分かりやすく説明するときにも,適切に用いることができるよう指導しなければならない。早期に,式,表,グラフの相互関連を理解させて,それらを自由自在に操れるレベルまで反復学習させ,活用できるよう指導を徹底したい。

(2) テストAでは,立体を規則正しく積み上げていき,必要な立体の個数を求める問題を出題した。テストBでは,4人がプレゼント交換するとき,自分のプレゼントを受け取らない方法が何通りあるかという問題を出題した。どちらも正答率は低く,30%前後であった。この立体の問題は,裏側に隠れている立体も漏れなく数えなければならないので,1段目の図,2段目の図,・・・を書いて慎重に規則性を見つけ,計算する必要がある。プレゼント交換の問題は,自分のプレゼントをもらわないよう慎重に樹形図を書いて求める必要がある。複雑な問題を,自分が分かりやすいように図を書き直したり,樹形図を書いたりして理解しやすくすることは大切なことなので,間違えた生徒には再度取り組ませたい。

(3) テストBで円周角と中心角の関係に関する問題を出題した。正答率は54%で,やや低い結果であった。形が扇形であったために円周角に気付かなかった生徒がいたようであるが,この問題は,補助線の引き方を工夫すれば,円周角と中心角の関係を使わなくても解を求めることができる。このように,多様な解答ができる問題を扱ったときは,思考力の育成にもなるので,時間をしっかりとって,他の解法を考えるよう指導したい。また,グループ学習で,自分の考えを発表し合ったり,考え方について話合いをすることにより,表現力も高めることができる。多様な考え方ができる課題は,思考力や表現力といった活用する力を育成することができるので,大いに取り入れていきたい。


           目    次
1  調査の趣旨及び処理   5  テストAの結果とその考察
2  調査結果の概要   6  テストBの結果とその考察
3  分析結果の概要   7  テストTの結果とその考察
4  調査問題の妥当性と信頼性     
 平成21年度高等学校数学標準学力検査の結果とその考察(PDF 408KB)