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8 テストTの結果とその考察

 
平成22年度高等学校入学者数学学力テストT の問題・正答率・誤答率・主な誤答

(1) 因数分解の公式の定着を図りたい。
 
x9の因数分解を2年連続で出題した。昨年度の正答率は28.3%であったため,今年度は直前の問題に和と差の積の公式を利用して展開する問題を配置した。すると,正答率は46.2%に上昇した。この結果から,展開式が示されればそれを利用して因数分解ができる生徒が約18%いることがわかった。
【今後の指導に向けて】
 式の展開は公式を知らなくても一つ一つ順にかけてから同類項をまとめることで正答に達することができる。しかし,公式を利用する因数分解は,与えられた整式から展開する前の形に気が付かないと正答が得られないため,因数分解の公式に気付くことが大切である。そこで,次のようなスパイラル的な指導を行い公式の定着を図りたい。

Step1.
式の展開を指導するときに,先行して逆方向の変形が因数分解であることを予告する。Step2.展開公式を定着させる。
Step3.因数分解の導入時に展開公式を確認する。
Step4.反復練習を行い因数分解の公式を定着させる。
(2) 直線の傾きが求められない。
 H1921では「yxの式で表しなさい」と出題したところ,正答率は約20%であった。そこで,本年度は生徒のつまずきを見るため,傾きと切片を分けて出題した。その結果,切片よりも傾きを求められない生徒が多いことが明らかになった。切片はグラフからすぐに読み取ることができるが,傾きは定義式から計算する必要があるためと思われる。誤答例にあるように,傾きもグラフから直接読み取れる値(36)であろうと勘違いしている生徒は,合わせて25%であった。
【今後の指導に向けて】
 教科書に登場する定義について,まずは用語を正確に覚えさせ,次に定義式を使えるようになるまで繰り返し練習させたい。このとき時間をかけて粘り強く指導していきたい。特に,テスト 受検者に対しては,中学校で学習する内容にまで戻って,生徒に興味・関心をもたせる必要がある。以下に中学校の教科書で扱われている身のまわりの傾きについて紹介する。

「スロープの傾き」
 次の文章は,スロープを設置するときの傾きに関する設置基準の一部です。
勾配は1/12(8.3)以下とし,屋外では1/15(6.7)以下とする。
(高低差10cm未満の場合に限り1/8(12.5)以下としてさしつかえない。)
屋外の勾配は1/20以下とすることが望ましい。
                啓林館『未来へひろがる数学2』より



           目    次
1  調査の趣旨及び処理   5  テストAの結果とその考察
2  調査結果の概要   6  テストBの結果とその考察
3  分析結果の概要   7  テストTの結果とその考察
4  調査問題の妥当性と信頼性     
 平成21年度高等学校数学標準学力検査の結果とその考察(PDF 408KB)