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5 テストの結果とその考察

 平成23年度高等学校入学者数学学力テストの問題・正答率・誤答率・主な誤答
(1) 「速さ・時間・距離」の関係の意味を考えさせたい。 
  “単位”に対する抵抗感を調べるために,H22とH23の問題は,数値は同じで単位の異なる問題を出題した。H22は水に関する問題を,H23は速さに関する問題を出題してみたところ,H23の正答率はH22よりも(1)(2)ともに約11%減少し,特に(2)においては無答率が8.5%増加するという結果となった。速さに関する問題に苦手意識をもっていることが分かる。
  また,H23(1)のように,速さに関する基本的な問題に関しては,正答率が75.8%あることから,水の問題より正答率は下がるものの「速さ・時間・距離」の関係を表す公式を利用することはできることが分かった。しかし,H23(2)のように公式を活用して考える問題では,公式の使い方が分からず諦めてしまった生徒が多く,上位群でさえ無答率が22%上昇した。
  
22の水の問題とH23の速さの問題では,単位が違うだけで考え方は同じである。大きな違いは,H22の水の問題には一般的な公式がなく,文章を読み,内容を理解して計算するのに対し,H23の速さの問題には小学校のときに学習した「速さ・時間・距離」の関係を表す公式が存在し,その公式に数値を代入し計算するところである。
  今回の結果から,H23の速さの問題では,公式に数値を機械的に代入することはできるが,問題文の内容を理解して公式を活用できなかったことが,正答率の減少,無答率の増加につながったと考えられる。
今後の指導に向けて
  「速さ・時間・距離」の関係を公式として機械的に暗記するのではなく,公式の意味を考えながら活用できるように指導していきたい。例えば,右のような具体例を取り上げ,公式の意味を理解させながら公式の定着を図ってはどうであろうか。
  また速さの単位(q/時)などから関係式の意味を把握させるのもよい。
  
苦手意識の強い「速さ・時間・距離」に関する問題は,公式の利用だけにとどまらず,関係式の意味を理解させながら繰り返し学習させたい。

(2) 相似な図形の面積比は定着している。
 学習指導要領の移行期の変わり目に当たる本年度の新入生は,「相似な図形の面積比と体積比の関係」を中学校で学習している。そこで,H22から相似な図形の面積比に関する問題を出題し,相似比を利用して面積比と体積比を求める昨年度の生徒と,新しく「相似な図形の面積比と体積比の関係」を学習して解答する本年度の生徒との違いを分析した。
  23の正答率は(1)では6.4%減少したにもかかわらず,(2)では7.4%増加をした。特に上位群の正答率は21.7%から57.8%へ倍増していることから,相似な図形の面積比に関する問題に「相似な図形の面積比と体積比の関係」を活用することは上位群を中心に定着できていると考えられる。しかし,(2)は無答率も増加しており,特に,下位群の無答率は26.1%から42.1%へ大きく増加しており,下位群には定着できていないことが分かる。上位群と下位群で定着に差があることが分かる。
  また,(1)の誤答において4と解答する生徒が全体の26%近くもあったが,その原因が特定できなかったため,一部の学校に協力をいただいき生徒に問題を解かせ再度誤答の分析をした。誤答が導かれた過程は,以下の3つのパターンであった。    
  最も多かった解法は,Bの「見た目から」であった。
今後の指導に向けて
  相似比を利用して面積比を求めることにおいては,上位群と下位群で定着に差がある。そのため,相似な図形の問題を取り扱う際には,再度公式の確認をし,定着を図った上で新しい学習内容を指導していくよう心掛けていきたい。
  また,誤答分析から分かるように,下位群の生徒の一部に,図形から推測で解答を求めようとする傾向があるので,既習内容を基に数学的根拠に基づいて,考えるよう粘り強く指導していきたい。


           目    次
1  調査の趣旨及び処理   5  テストの結果とその考察
2  調査結果の概要   6  テストの結果とその考察
3  分析結果の概要   7  テストの結果とその考察
4  調査問題の妥当性と信頼性     
 平成22年度高等学校数学標準学力検査の結果とその考察(PDF 483KB)