高讃寺(こうさんじ)  <時代>室町時代  <地域>知多
高讃寺山門 仁王像

<所在地>常滑市西阿野(名鉄常滑駅より徒歩50分)
<概要>
 天台宗の高讃寺は684年に天武勅願により行基を開祖として創建されたといわれる。当時は「七堂伽藍(がらん)三百坊の僧院をもつ,国内随一の大刹」であったと「尾張志」に記されている。以前は現在の位置からさらに東の谷奥にあり,山岳修験道の拠点であった。比叡山の経塚群からも常滑焼のかめが出土していることからも古くから比叡山とのつながりがあったことが分かる。その後,何度か戦火や火災に見舞われ,現在は天文年間に再建された八堂のうち南坊一堂だけが残ったと言われている。
 高讃寺に伝わる聖観音像は県の指定文化財になっている。この仏像は平安末期の彫刻で,茜色と紫色が美しく残っている。仏像の表面には丸ノミの跡を残し,鉈(なた)彫りという技法で作られている。また,本堂には阿弥陀如来像が安置されている。彩色はされていないが,聖観音像と制作年代は同じと推定されている。また,山門には二体の仁王像が安置されている。鎌倉時代の作品といわれ,しっかりと彫り込まれた像は,風雪に耐えてなお健在である。

<学習のポイント>
 平安仏教の全国への広がりを示す例として,郷土に残る資料をぜひ紹介したい。

<見学のポイント>
 山門の仁王像にはおもしろい伝説がある。織田信長による寺院焼き払いがあったが,その時に仁王像は焼かれるのを恐れて境内の御岳池に身を隠し,戦乱の後に掘り起こされたという。じっくりと見学したい。

<参考資料>
 「常滑市誌」 「古寺と仏像」

<問い合わせ先・ホームページ>
 高讃寺

 常滑市ホームページ
 http://www.city.tokoname.aichi.jp/ 

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