延命寺(えんめいじ)  <時代>鎌倉時代  <地域>知多
延命寺 総門

<所在地>大府市大府町(JR東海道線大府駅より徒歩10分)
<概要>
 天台宗宝龍山延命寺はその創建ははっきりとしていないが,鎌倉時代に盛祐(じょうゆう)上人によって開基されたとされる。当時の縁起によれば,延命寺は七堂伽藍を備える大寺院であったが,戦火のためにすべて消失してしまったという。その後,1533年(天文2)に後奈良天皇より宝龍山という勅額を賜り,さらに横根城主の梶川氏や緒川城主の水野氏,さらに尾張藩主より二十石の禄や田畑山林の寄進を受けるが,かつての勢いを取りもどすことはなかったようである。現在では立派な山門が往時をしのばせる。
 さて,延命寺には密教寺院らしく曼陀羅(まんだら)図などいくつかの寺宝が伝わっている。その中でも「刺繍普賢菩薩像(ししゅうふげんぼさつぞう)」は多少の虫食いがみられるものの,六頭の象に乗った普賢菩薩が優美に刺繍されている逸品である。糸の線は正確で力強く彩色の配合も見事である。絹地は良質で中国産と思われ,専門家の調査では菩薩像の上半身衣文の形式から宋の末期か元の初期の作品ではないかとされ,1968年(昭和43)に県文化財の指定を受けた。


<学習のポイント>
 時の権力者によって盛んに行われた日宋貿易や日明貿易を通して,鎌倉仏教に代表されるような新しい仏教の交流を示す好例として紹介したい。

<見学のポイント>
 寺院の入り口には見事な山門がある。現在は大府市の文化財に指定されている。

<参考資料>
 「大府市誌」 「知多新四国めぐり」

<問い合わせ先>
 延命寺

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