名古屋港跳上橋(なごやこうはねあげばし)  <時代>昭和時代  <地域>名古屋
名古屋港跳上橋 さびた鉄道レール

<関係地> 名古屋市港区入船1−6(地下鉄名港線名古屋港駅下車,徒歩10分)

<概要>
  名古屋港跳上橋(なごやこうはねあげばし)は,1・2号地運河(現・筑地(つきじ)ふ頭,ガーデンふ頭)に架けられた鉄道可動橋で,1927年(昭和2)に臨港鉄道の貨物列車の引き込み線の一部として造られた。可動橋の第一人者である山本卯太郎(やまもとうたろう)が設計した,日本に現存する最古の上部カウンターウエイト式の跳上橋である。名古屋港には大正以降,三つの可動橋が造られた。最初は1924年(大正13)で,6号地(現・大江ふ頭)と7号地(現・昭和ふ頭)の間の大江川に架けられた「大江川橋」である。二つ目は,1932年(昭和7)に大江川橋の可動部を移築して堀川口に架けられた「港新橋仮橋(東西筑地間連絡仮橋)」で,1964年(昭和39)まで使用された。そして三つ目が,この名古屋港跳上橋である。この橋は全長63.4mあり,船舶(せんぱく)が運河を航行するたびに,15m,40トンの橋桁(はしげた)部分が15馬力のモーターで開閉するので,その下を船舶が航行できた。貨車の通行時には閉じられ,油圧でレールの結合を行っていた。
  完成当時は,頻繁(ひんぱん)に可動桁(かどうけた)が開閉し,その下を船舶が航行した。しかし,道路交通網が整備され,トラック輸送の発達により臨港鉄道が廃線となると,1986年(昭和61)にその役割を終えた。この橋は,名古屋港の貴重な景観資源として1987年(昭和62)から可動部の橋桁を跳ね上げた状態で保存されている。1999年(平成11)に国の登録有形文化財に登録された。

<学習のポイント>
 日本や世界の可動橋について調べてみよう。また,道路交通網が整備される以前の水上交通についても調べてみよう。

<見学のポイント>
 名古屋港跳上橋周辺は私有地のため,周辺の立ち入りには制限がある。約250m奥部にある稲荷橋(いなりばし)から見学できる。また,大江川橋から移された港新橋仮橋は,可動桁の基礎が名残として現存している。

<参考資料>
「百年百景 名古屋港開港100周年記念写真集」 名古屋港管理組合
「名古屋港開港100年史 CD−ROM版」 名古屋港管理組合
「堀川沿革誌」 末吉順治

<問い合わせ先>
 名古屋港管理組合企画調整室環境担当  052-654-7856

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