愛知県総合教育センター研究紀要 第92集

評価規準,評価方法等の開発に関する研究

はじめに
 平成14年4月より新学習指導要領の全面実施にともなって学習評価が目標に準拠した評価(いわゆる絶対評価)に改められた。
 本研究は,平成13年7月に立ち上げ,今日までに,中学校及び小学校の評価規準,評価方法等の具体例を開発し,小・中学校に対して参考例として提示することができた。ここでは,これまでの研究の成果を改めて報告し,皆様の厳しい御批評を仰ぎ,15年度の研究につなげていきたい。

1 研究の目的
 新学習指導要領が示す目標に照らしてその実現状況を見る,目標に準拠した評価(いわゆる絶対評価)の実践的な研究を進め,各中学校及び小学校において評価規準,評価方法等の参考となるものを示す。

2 研究の方法
 (1) 10名の研究協力委員及び所員との共同研究を行う。
 (2) 13年度作成した,「評価規準,評価方法等の開発の手びき」に関しての学校における意見収集や学校が取り組んでいる実践事例を収集し,内容分析を行う。
 (3) 中学校評価規準について各教科とも,より活用しやすいものを研究し追加作成する。
 (4) 小学校における評価規準作成に向けて,よりシンプルな評価規準例を研究する。
 (5) センター研究発表会において,発表及び研究協議会を開催し,情報交換・還流を行う。
 (6) 評価に関する質問に対応するためのQ&Aの作成を随時進める。
 (7) 研究成果を研究紀要としてまとめる。


3 研究の内容
 (1) 昨年度の研究結果の検証を進め,中学校各教科において,さらに,より具体的かつ客観的で信頼度の高い評価規準,評価方法等を開発する。
 (2) 小学校各教科において,指針となるような評価規準,評価方法等の開発を行う。

4 研究の成果と今後の課題
 研究の方法に対する結果ということになるが,@13年度作成した中学校評価規準の検証を研究協力委員とともに進め,実際の授業の流れに即した内容に修正した。A中学校各教科の評価規準を追加作成した。B小学校における評価規準も中学校の評価規準作成の考え方をベースに2年生と5年生それぞれ1単元(題材分)を作成した。なお,中学校も小学校もCやAと評価した子供への授業における対応例を載せた。C研究協力委員の在籍校を中心に,新しい評価に関する学校での取組の様子を調査しその結果をまとめた。これらすべての内容については当センターのホームページ等でも公表しているので,参考にしていただきたい。
 課題は山積しているが,来年度は,次の2点に重点をおいて,研究を進めたい。
 @評価を指導に生かす具体的な授業の在り方
 A特に「努力を要する」と評価した子供への効果的な指導・支援の在り方

おわりに
 新しい評価方法が導入されて1年が過ぎようとしている。各小学校や中学校において検討しなければならない課題が数多くある。当研究において,そうした課題に少しでも対応できるような手法を研究し,参考にしていただけるよう努力していかなければならないと考えている。皆様から忌憚のない御批評を頂戴できれば幸いである。