愛知県総合教育センター研究紀要 第92集

高等学校国語科における評価規準,評価方法等の在り方に関する研究
        ―「国語総合」年間学習指導計画の作成を中心に(中間報告)―

はじめに
 当総合教育センター「高等学校教科指導の充実に関する研究(国語)」研究会において,平成15年度から実施される新学習指導要領国語の科目「国語総合」の評価規準を明らかにした年間学習指導計画の立案を試みた。生徒の実態を考慮した年間学習指導計画を各学校で作成し,授業と評価の更なる改善を図っていかねばならないが,この研究中間報告がその際のたたき台になれば幸いである。

1 研究の目的
 高等学校新学習指導要領の実施を目前に控え,国語の指導と評価の一体化を更に高める目標に準拠した評価の在り方を探り,各学校の国語の授業と評価の在り方の改善に資する。

2 研究の方法
 (1) 評価にかかわる諸答申や通知,関係資料・文献等を手掛かりに,高等学校国語の科目「国語総合」の授業と評価の在り方を研究する。
 (2) (1)を基にして,「国語総合」の評価規準を作成する。
 (3) (2)で作成した評価規準を生かしやすい年間学習指導計画表の形式を工夫する。
 (4) (3)で工夫した年間学習指導計画表の形式によって,研究協力委員が所属する各学校の生徒の実態を考慮しつつ,他校の参考となる年間学習指導計画を立案する。 
 (5) (4)で作成した年間学習指導計画に従って,具体的に単元レベルで,研究協力委員の授業実践を通して,指導と評価の一体化の観点について検証する。
 (6) 評価の決定,評定の算出について見通しを立てる。
 * (5)(6)については,本年度の研究の進捗状況から,今後の課題とする。  

3 研究の内容
 (1) 評価規準について
 評価規準は,新学習指導要領及び新学習指導要領解説国語編の文言を基に,研究会で工夫して作成した。その評価規準には記号が付してあるが,記号によって評価レベルを明らかにすれば,当研究会の評価規準を参考にする場合,各学校で生徒の実態を考慮した段階的な指導計画や重点的な指導計画が立てやすくなると考えたからである。 
 (2) 評価規準を明らかにした年間学習指導計画の作成に当たって
 当研究会の年間学習指導計画は,作成した評価規準が学習指導に反映され,指導と評価の一体化に結び付くように考慮した。このため,年間学習指導計画中に,「国語総合」の目標,評価の観点及び趣旨,学習指導要領の内容,評価規準を掲載することにした。
 また,年間学習指導計画内の年間学習指導計画表は,教育課程中央説明会(愛知県講習会)等の説明内容を踏まえ,従来の一般的な形に「主な領域」「言語活動例」「具体的な評価規準」「評価方法等」「関連事項」等を付加して作成した。
 (3) 具体的な年間学習指導計画例
 年間学習指導計画は,各学校の生徒の実態をきちんと踏まえたものでなければならない。この点で,本研究会の例示は,研究協力委員が各学校の実態を踏まえつつも,それぞれの考えの折衷的なものを3パターン示したに過ぎない。しかし,やや習熟レベルが高い生徒向き,基礎・基本を確実に定着させたい生徒向き,2年間にわたり分割履修させる生徒向きの評価規準の使い方や表し方,各領域の配置,配当時間等の工夫が,各学校で年間学習指導計画を作成する際のたたき台になろう。 

おわりに(研究のまとめと今後の課題を含めて)
 本研究の進捗状況は順調ではなかった。評価のとらえなどが固まらなかったためである。各学校の国語科教科会においても同様の課題が生じているものと思われる。来年度,「国語総合」担当教員のみが,その立案や運用に苦慮することがないように教科会全体で知恵を絞りたい。今後の課題は,「2 研究の方法」で示した(5)(6)に取り組んでいくことである。この取組を通して,年間学習指導計画の修正・改善を図りたい。各学校の様々な工夫を当研究会へお示しいただけるとありがたい。