愛知県総合教育センター研究紀要 第92集

 BeeSpi(ビースピ)を用いた物理実験の可能性について
           −ビースピの速度測定機能を利用した物理実験−

はじめに
 数年前,小学生を中心に人気を集めたバネの力でビー玉を飛ばす玩具やゼンマイ式小型自動車玩具があった。これらの速さを測定する装置として,玩具メーカーからビースピが発売された。ブームが去って一時入手困難となったが,最近になって理科の教材として再び販売されるようになった。この装置を利用したいくつかの物理実験について,指導上の有効性の検証を試みる。

1 研究の目的
 ビースピの機能を検証し,スピード測定機能の精度試験を行う。また,この装置を利用したいくつかの物理実験について,指導上の有効性の検証を試みる。

2 研究の方法
 細長い板の中央にプラスチックのカーテンレールを木ねじで止め,ビースピを取り付けた実験器具を製作し,自由落下運動や斜面上を転がる球の運動,アトウッドの装置による重力加速度の測定などに利用する。測定結果を理論値と比較することによって,ビースピの物理実験における有効性を検証する。

3 研究の内容
 (1) 自由落下運動によるスピード測定機能の精度試験
 (2) 斜面上を転がる球の運動の分析実験
 (3) アトウッドの装置による重力加速度の測定実験
 (4) (1)〜(3)の結果によるビースピの有効性の検証

4 研究のまとめと今後の課題
 自由落下運動によるスピード測定機能の精度試験で分かったことは,ビースピの精度には個々に大きなばらつきがあり,購入後しっかりテストする必要があるということである。誤差3%未満であれば,かなりの実験に応用できるといえる。しかも消耗品として購入できる値段であるので,生徒に必要な量が購入できる点も評価できる。
 ただし,コの字型の間を物体が通過するときに速度測定を行うという構造上,取付けには工夫が必要となる。例えば,斜面上を転がる球の速度を測定する場合,球の大きさによってはゲタをはかせる必要がある。このような工夫をすれば,速度測定を伴う物理実験に広く利用できる。
 今後は,パソコンのソフトに直接データを取り込んで処理する工夫やkm/h単位での表示をm/s単位の表示にするための改造などに取り組む必要がある。

おわりに
 平成14年度に小・中学校,平成15年度に高等学校で実施される新しい学習指導要領の理科では,目的意識を明確にした探究活動の更なる充実が求められている。今回の研究成果を,理科の授業や部活動等において活用されることを願って,研究紀要第92集に集録した。各学校で大いに御活用いただき,忌憚のない御批正を賜れば幸いである。