はじめに
今,盲・聾・養護学校には,その専門性や施設・設備を生かして地域の特殊教育に関する相談センターとしての役割を果たすことが求められている。本研究では,養護学校が学校以外に拠点を設けて相談活動の実践を通して,地域支援の在り方等について探求するとともに当センターの養護学校への支援の在り方について研究した。
1 研究の目的
養護学校は,県内各地に設置されていることから,地域における特殊教育のセンターとなり得る地理的条件は整っているものの,教育相談に関しては,盲学校・聾学校に比べて歴史が浅く,分掌上の位置付けについても確立しているとは言い難い。
一方,当センターにおける特殊教育相談は,障害のある幼児児童生徒の発達援助や保護者支援に大きな成果を上げているが,継続した面接相談が可能な来談者は,当センターに比較的近い地域に限られている。
本研究では,県内の養護学校との連携を図り,地域における教育相談のニーズを把握し,養護学校等における教育相談機能の充実を図ることをねらいとする。
2 研究の方法
(1) 県立養護学校及びその地域の公共施設等を会場として,研究協力校職員と総合教育センター職員による特殊教育相談を実施し,学校が担う教育相談機能について検討する。
(2) 研究協力校及び当センターにおいて,事例会議及び相談実習・研修を行い,地域における特殊教育相談についてのニーズを把握するとともに相談担当者や学校への支援の在り方について確認する。
(3) 所員研究により,養護学校が地域における相談のセンターとしての役割を果たすための課題及び条件整備について整理する。
3 研究の内容
(1) 当センターにおける特殊教育相談の現状
(2) 特殊教育相談の在り方
(3) 実践研究報告 ―県立半田養護学校及び安城養護学校―
ア システムづくり
(ア) 校内組織 (イ) 相談会場 (ウ) 相談形態
(エ) 広報活動 @広報誌への記事の掲載 Aリーフレット Bホームページ
(オ) 関係諸機関との連携
イ 相談活動の実際
(ア) 相談活動の流れ (イ) 相談の実施状況 (ウ) 相談事例
(4) 実践のまとめ
4 研究成果のまとめと今後の課題
(1) 地域における特殊教育相談のニーズ
養護学校が行う教育相談の申し込みが少しずつ増えてきている。障害のある子供を抱える保護者は,地域の中で個々のニーズに応じた専門的な支援を求めているので,障害のある子供と保護者の求める支援の内容を分析し,気軽に利用できる地域の支援システムを構築する必要があろう。
(2) 相談担当者の資質向上
子供の実態を客観的に把握し,養育・指導等の見通しをもつために,相談担当者は専門的な知識をもち,子供の生活や学習上の課題を的確に整理する力が必要である。また保護者の障害受容の過程を踏まえ,家族に対する適切な心理的支援もできなければならない。さらに医療,福祉,保健等に関する情報をもち関係者と協力するために,当センターとの一層の連携が必要になってくる。
おわりに
養護学校には,@様々な障害のある子供の教育に携わった経験のある教員がいる。A障害のある子供に対し興味・関心を抱かせる遊具・教材が豊富である。B障害に配慮した施設・設備が整っているなどの利点が挙げられる。今,特別支援教育が取りざたされる中,地域の小中学校との連携や地域の諸機関とのネットワークが重要視されてくる。その意味でも,地域にある養護学校が果たす役割は極めて大きい。
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