愛知県総合教育センター研究紀要 第93集

 児童自らが実験方法を工夫できる教材・教具の検討
       −小学校6年理科「ものの燃え方」でのペットボトルの活用−

1 はじめに
 現行の学習指導要領では,小学校理科の目標として,「見通しをもって観察,実験などを行う」ことが重視されている。児童が見通しをもって実験を行うためには,児童自らが実験方法を工夫することができる実験道具や材料が必要である。そこで,6年理科「ものの燃え方」の単元において,児童の身近にあり加工が簡単なペットボトルの活用について検討することにした。

2 研究の目的
 多くの教科書で扱われている集気瓶を使った実験では,児童が自由な発想で実験を行うには限界があり,決められた操作を行うだけで終わってしまうきらいがある。
 そこで,児童の身近にあり簡単に加工できるペットボトルを実験に活用することにした。そして,単元の目標を達成するために,ろうそくとペットボトルを使った実験方法を明らかにしたいと考えた。

3 研究の方法
 (1) いろいろな種類のペットボトルやろうそくを用いて実験を行い,最適の材料を見付ける。
 (2) (1)で見付けた材料を使って,実験方法を検討する。
 (3) (1)・(2)を基に,ペットボトルを使って実験を行う。

4 研究の内容
 (1) 適した実験装置と実験方法
  ア ペットボトルの種類
  イ 密閉した実験装置
   (ア) ペットボトルの切り方
   (イ) ろうそく立ての作り方
   (ウ) 底を切ったペットボトルを密閉する方法
   (エ) ペットボトルの穴の開け方・穴のふさぎ方
   (オ) ろうそくの種類
  ウ 穴を開けた実験装置
   (ア) 空気の流れを調べるための穴の大きさ
   (イ) 空気の流れを確かめる方法
  エ 空気の質的変化を実感させる実験
   (ア) ペットボトル内の水の上昇実験
   (イ) 気体検知管での酸素と二酸化炭素の濃度の測定
 (2) ペットボトルを使った実験例
  ア ペットボトルに開ける穴の位置と数
  イ ペットボトル内の二酸化炭素の濃度

5 おわりに
 身近なペットボトルを活用することにより,ろうそくが燃え続けるためには新しい空気が必要であること,燃えることにより酸素が使われ二酸化炭素が発生することを,児童に追究させる手段を明らかにすることができた。
 これからも,児童が見通しをもって主体的に実験を行うことができるように,実験道具や材料の研究を続けていきたいと考えている。