愛知県総合教育センター研究紀要 第94集

高等学校外国語(英語)科における評価規準,評価方法等の在り方に関する研究
     −高等学校外国語(英語)科における観点別評価の具体例とその実践例−

はじめに
 平成12年12月,教育課程審議会より出された「児童生徒の学習と教育課程の実施状況の評価の在り方について」の答申では,新学習指導要領の実施に伴う評価の在り方や指導要録の改善等について提言がなされた。高等学校においては,平成15年度より年次進行で実施している新学習指導要領のねらいを実現するため,答申の趣旨や内容を理解し,さらに観点別の評価規準,評価方法等を設定した年間学習指導計画に沿って行われる指導と評価の改善への取組が求められている。

1 研究の目的
 当センターの教育研究調査事業の一つである「高等学校教科指導の充実に関する研究(英語)」では,平成15年度より,「高等学校外国語(英語)科における評価規準,評価方法等の在り方に関する研究」に取り組み,外国語(英語)科における指導と評価の一体化,目標に準拠した評価(いわゆる絶対評価)の在り方に関する具体的な方策を追究し,各学校での実践上の参考となるものにしたいと考えた。
 当研究協議会は,外国語(英語)科の各科目の評価規準,評価方法の具体例の作成及び授業実践を通して,指導と評価の在り方について検証し,各学校の学習評価の工夫改善への取組に役立つ参考資料を提供することをねらいとする。

2 研究の方法
 (1) 評価にかかわる諸答申や通知,国立教育政策研究所教育課程研究センター等の文献及び資料を参考にして,高等学校外国語(英語)科における指導と評価の在り方を研究する。
 (2) 各科目の評価規準と評価方法の具体例を作成する。
 (3) 作成した評価規準と評価方法を基に,研究協力委員が所属する学校で授業実践を行い,指導と評価の在り方について検証する。
 (4) 評価の決定,評定の算出等について検討する。

3 研究の内容
 評価の改善についての動向と評価に関するキーワードの理解を踏まえた上で,各学校における評価に関する取組及び工夫の可能性を追求し,各学校が実情に応じた評価計画を検討していくための資料として「評価の基礎知識」をまとめた。さらに,各学校での評価の改善及び指導の充実に向けて,各科目における観点別評価の授業実践を通して,指導と評価の在り方について検証した。

4 研究のまとめと今後の課題
 観点別評価を日常的な教育活動として定着させる意義は,知識や技能の評価だけではなく,自ら学ぶ意欲や思考力,判断力,表現力などを含めて生徒の学習状況を評価できること,また,学校における評価を指導の改善充実に生かせることにある。 各学校が観点別評価を活用し,指導の改善に生かすには,学校の目標や実態等に合わせた評価規準の作成や評価方法の工夫に取り組む必要がある。また,その際には,授業レベルで継続的に実行可能な評価にすること,学習の目標等を含めて保護者や生徒にとって分かりやすく,理解しやすい評価にすることが重要である。

おわりに
 平成15年4月の新学習指導要領の年次進行による施行とともに動き出した一連の評価の改善の流れにおいて,各学校が今取り組むべきことは,各学校の指導目標を明確にした英語指導の「アイデンティティ」を確立することである。各学校がそれぞれの目標の達成に向け,教材の精選と構造化を図るとともに評価の在り方を「四つの観点」からとらえなおし,体系的かつ組織的な評価計画と創意工夫あふれる授業実践によって,指導が一層充実したものとなることを願ってやまない。