愛知県総合教育センター研究紀要 第96集

  学校評価の在り方に関する研究(中間報告)

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1 はじめに

 平成14年4月に施行された小学校及び中学校設置基準等において,各学校では「自己評価」及び「情報の積極的な提供」に努めることが求められ,愛知県では県立学校管理規則の一部改正に伴い,平成17年度より,すべての県立学校で「自己評価」と「情報の積極的な提供」の義務化が図られ,学校評価システムは普及しつつある。各学校や地区で学校評価は確実に定着し始めているが,学校によっては実施内容が不十分であったり,調査結果の公表が進んでいなかったりなどの課題が表出してきていることも事実である。
 そこで文部科学省は,平成18年3月に「義務教育諸学校における学校評価ガイドライン」(以下,「学校評価ガイドライン」)を策定し,全国的に一定水準の教育の質を保証し,その向上を図る観点から,学校評価の目安となる事項を示している。


2 研究の目的

 本研究では,「学校評価ガイドライン」を参考にして,望ましい学校評価の在り方の調査研究を進め,その研究成果を発信することにより,信頼される開かれた学校づくりに資することを目的とする。特に,「学校評価ガイドライン」では,学校のまとめた「自己評価書」を教員以外の者が評価・検証するという,新しい概念の「外部評価」が提案されたため,その導入に関する留意点,各学校の実情に応じた有効な活用方法等を探る。

3 研究の方法

 
センター所員による理論的研究を進めるとともに,県下の小学校2校,中学校2校,県立学校4校に研究協力を依頼し,学校評価システムの運用にかかわってきた教員を中心に,各校の前年度の学校評価システムを分析し,今年度それをどのように改良してきたか,今後どのように改良すべきかを研究する。「学校評価ガイドライン」に照らし合わせて,外部評価のあるべき姿や学校評価の項目・指標の重点化,改善につながるシステムの確立,等の課題を整理し,それらの解決への糸口を探る。

4 研究の内容


 本年度については,各研究協力校における,それぞれの状況に応じた学校評価システムへの取組,運用等を踏まえ,平成17年度から平成18年度前半までの学校評価システムへの取組,特に,教育活動や学校運営の状況等についての自己点検・自己評価の内容及び方法,PDCAサイクルの運用,評価結果の公表方法,学校評価システムにおける外部評価に関する事例を報告する。なお,平成18年度当初に「学校評価ガイドライン」で示された新しい「外部評価」に取り組み,その委員の選出や評価に必要な資料,意見交換の頻度等についての実践例も示す。

5 研究のまとめと今後の課題 

 文部科学省は,第三者機関による全国的な外部評価の仕組みも含めた学校評価を充実する実践研究に着手したので,来年度へ向けて,「学校評価ガイドライン」での新しい「外部評価」と第三者機関による外部評価との兼ね合いについて研究を深める必要がある。また,評価結果の公表については,誰に対してどの評価結果を示すのか,どのような公表手段を活用するのか,留意すべき点は何か,等の調査研究を更に進めていく必要がある。