愛知県総合教育センター研究紀要 第97集

  学校評価の在り方に関する研究(最終報告)

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1 はじめに

 平成19年12月に施行された改正学校教育法において,「学校は,当該学校の教育活動その他の学校運営の状況について評価を行い,その結果に基づき,学校運営の改善を図るために必要な措置を講ずることにより,教育水準の向上に努めなければならない」,「学校は,保護者等との連携協力を推進するため,教育活動その他の学校運営の状況に関する情報を積極的に提供するものとする」が法文上で明記された。これにより,各学校は学校評価に取り組む法的な責務を負うこととなった。

2 研究の目的

 本研究では,平成18年3月に示された「義務教育諸学校における学校評価ガイドライン」及び「学校評価の在り方と今後の推進方策について 第一次報告」(学校評価の推進に関する調査研究協力者会議 平成19年8月)を参考にして,望ましい学校評価の在り方の調査研究を進め,その研究成果を発信することにより,信頼される開かれた学校づくりに資することを目的とする。また同時に,学校評価システムが各学校の改善へと確実に結び付くように,学校評価システムそれ自体の在り方を考察し,研究協力校の実践事例とともに提案する。

3 研究の方法

 
本年度も,所員による理論的研究を進めるとともに,県内の小学校2校,中学校2校,県立学校4校に研究協力を依頼し,学校評価システムの運用にかかわってきた協力校委員を中心に,各校の前年度の学校評価システムを分析し,その運営上の問題点をどのように改善すべきかを研究した。

 
研究協力校の実践概要

(1)

知立市立来迎寺小学校

自己評価書及び外部評価書の作成について工夫するとともに,地域住民の意見の反映について検討する。

(2)

蒲郡市立竹島小学校

具体的な評価の年間計画を立て,前期末に中間評価を実施し,後期の学校運営及び教育活動の改善を図る。

(3) 東郷町立春木中学校
自己評価書と外部評価書を一体化した評価書様式とその学校評価運用システムを構築する。
(4) 新城市立鳳来中学校
「教員評価シート」を,学校評価システムに活用するとともに,アンケートの作成と活用について工夫する。
(5)  県立一宮商業高等学校
生徒,保護者,中学校教員を対象にしたアンケートの効率的な実施方法の考察とシステム化に取り組む。
(6) 県立豊橋西高等学校
外部評価委員会の設置に向け,校内評価体制における問題点とその解決のための方策を考える。
(7) 県立名古屋盲学校
小委員会の設置と重点目標設定の早期化により,効果的なPDCAサイクルの確立を目指す。
(8) 県立豊田高等養護学校
外部評価委員会のもち方(構成メンバー・実施時期等)についての見直しを図り,自己評価書と外部評価書の活用について検討する。

5 今後の課題 

 各学校は,今後実施される第三者評価の,前段階としての自己評価及び学校関係者評価(外部評価)を,主体的,自律的に学校改善につなげていくことができるよう,その評価結果の公表の在り方も含め,効率的な校内システムを早急に構築していかなければならない。