無線LANの特徴とセキュリティについて(3/3)

6.無線LANの運用例

実際に校内で無線LANを利用した結果を報告します。
現在,一番普及しているIEEE802.11b規格で校内のネットワークと無線LANを接続しました。
既存のネットワークではDHCPサーバを立てていないため,各クライアントにはIPアドレスを固定で割り振ってあります。そのためDHCP機能を働かせるとIPアドレスが重複してしまいネットワークに不具合が生じる可能性があるため,無線LANのアクセスポイントは,DHCP機能のないものを用いました。

AP:アクセスポイント

実験の結果,次のことがわかりました。

教室内にアクセスポイントを設置してネットワークの接続状況を調べてみると,設置されたフロアでは全ての教室で接続することができました。廊下や柱の裏側など電波の受信しにくそうな場所でも接続は可能でした。また,上階や下階の教室でも接続できる教室がありましたが,アクセスポイントを設置した教室の真上や真下以外の教室は,速度も遅く安定していませんでした。

アクセスポイントを増やして同時に複数のコンピュータで接続してみましたが,体感的には速度が遅くなったようには感じられませんでした。アクセスポイントの数が増すことにより,通信チャンネルの混信が起こり,通信速度が低下しているはずですが,あまり通信速度の低下は感じられませんでした。同一チャンネル同士また,お互いの通信チャンネルを変えて通信をしてみましたが同様です。コンピュータの数が少なかったので体感的にはあまり影響が感じられなかったのだと思います。授業等で生徒が多数のコンピュータで一斉にアクセスすれば,かなり影響があると思います。

校舎外への影響ですが,思っていたよりも外部への影響は少ないようでした。見通し距離で100m程度なら接続は可能だろうと予想していましたが,実際に行ってみると30m程度離れた隣の校舎からでは安定した接続はできませんでした。このことは,隣の建物内の通信チャンネルまでは考慮しなくても良いので,チャンネル数を増やさなくてもネットワークの構築が可能です。

校外への影響を調べてみると200mぐらい離れた場所からもアクセスポイントの存在を確認することができました。

校内のネットワークも,校外からでは電波の状況が不安定でネットワークに接続するのは困難でしょうが,セキュリティ対策を施しておかないと,不正な侵入も可能だと思われます。

7.おわりに

無線LANは工事も不要で手軽にネットワークを構築することができます。また,工事費用もかからずコストも抑えることができ,実際に導入した結果,十分に使用できるものでした。しかし,手軽にできるためかセキュリティ対策を全く施してない場合が多いのではないかと思います。特に校内で取り扱う情報は,生徒の個人に関する情報もあり,校外に決して漏らしてはなりません。そのことに十分注意して使用するべきだと思います。

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